【名探偵コナン】続・初デート先で大事件とか聞いてない【赤井秀一/ギャグ】

#359 ページ28

「あ、」


　直ぐに手を伸ばしたが、遠ざかりゆく貨物車も気がかりでその場を離れることも出来ず、煙のせいで遠近感も掴めない。結局手は空を掴み……彼女はそのまま扉の先に消えていく。
バーボンはただそれを、呆然と見つめていた。

　……あの涙は、どういう理由があったのだろう。理由はどうあれ原因は自分だという事だけは確かだろうが。


「……ハァ」


思わず、ため息を一つつく。あんな顔をさせたかった訳では無いのに。
　話しぶりからして、今後彼女に接触を図るのは困難を極めるだろうが……それでいいのかもしれない。あの子に近づく時の自分は、「敵」でしかないのだから。

――

「(……確か爆発したら、哀ちゃん連れて前の車両に行くんだったよね……早く行こう)」


「抜け出すチャンス」と思ったのが半分、これ以上一緒にいたら更に迷惑をかけると思い、距離を取ろうとしたのも半分。Aは咄嗟にバーボンをを突き飛ばし、逃げるように貨物車から飛び出した。


　――グイ！


「っえ、わわ、」


　貨物車から8号車内に足を踏み入れたその瞬間。
突如大きな手に掴まれ、扉の死角に引き寄せられる。その人物はAを抱きとめてすぐ、貨物車への扉を勢い良く閉めた。


――ドォ……ン。


　それとほぼ同時に扉の向こう側から、大きな爆発音が再び響き渡る……先の爆発で切り離された貨物車が、爆発した音だ。先程よりは微かだが線路を通しての衝撃が、ビリビリと車内に響いていた。
男は帽子を目深に被り白煙に包まれているため、顔の確認がほとんど出来ない。
だがAは、瞬時にそれが誰なのかを理解していた。


「……無事、か？」

　男……変装を解いている赤井は、しっかりと胸に抱き込んでいる少女がコクリと微かに頷いたのを確認し、そっと安堵の息をつく。


「……ならいい、今はな。とにかくすぐ移動するぞ」
「……」


　Aは相手の顔を見ることが出来ず、俯いたままである。

　赤井は問いただそうと思っていた。何故あんな危険なことをしたのか、と。
扉を開けた時は、背筋が凍りつく思いをした。安全な場所にいるはずが、奴(バーボン)に拳銃を突きつけられているのが見えたから。

　Aの手を赤井が繋ぐ。その時、ふと彼女の手を「温かい」と思った。普段は互いにさほど変わらない温度だというのに。
そのまま手を引き8号車を足早に通り抜け、最初に有希子といた7号車の一室にたどり着いた。周りを確認して部屋に入り、Aの方を見る。


「……まずはお前の言い分でも聞かせてもらおうか？」

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本日の名言！

そんな顔をするな…それとも俺の保証だけじゃ不安かな？《赤井秀一》

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