【黒子のバスケ】品のある君は俺の婚約者

Red18 ページ21

婚約解消……。

その言葉の意味を理解するのに、少し時間を要した。
俺は何かを彼女にしたのだろうか。それとも他の何かか…。

原因を探るように、思考はぐるぐる.と.回る。

さっきの発言に続くように、彼女は言葉を発す。




「っ……。申し訳ありませんが、他に好きな人が出来たんです。」

「好きな人……？」




彼女は俺の目を見て話さない。

そして俺は状況を飲み込めなかった。だって、おかしいじゃないか。
Aは昨日まで俺のキスに顔を真っ赤にして、
登校時も「好きです。」なんて、耳元で囁くように言ってくれた。




「……その人のこ.と.は、俺よりも好きなの？」

「……っ…はい。」

「……両想いじゃなくても…？」

「……そうです。」

「その人の名前は？」




Aを問い詰める。我ながら、醜い図だ.と.思う。まるで尋問だ。
そして、ここまで独占欲が強かった自分に驚く。

しばらくして、Aの言葉が返ってくる。
「関係ない」とか俺の知らない人の名前を口にするかと思っていたのに…




「……虹村修造先輩…です。」




なんて、虹村さんの名が出てくるものだから、
なんとなく信ぴょう性があるように思えてしまって、１人納得してしまった。

それでも、やはりAの発言を頭では理解しよう.と.しているのに
気持ちがそれを拒み、茫然と彼女の家の前で立ちすくんでしまっていた。

それから数十分ほどだろうか。

ふ.と.気づいたときには、いつの間にか
目の前から彼女は居なくなっていたのだった。

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