【ハイキュー】マネージャーと書いて苦労人と読む

苦労9個目 ページ12

その後。

｢ツッキーおまたせ！｣と言いながら走ってきた山口くんに 月島くんが｢遅い｣とでこチョップをくらわせて焦ったけど、当の山口くんは気にしてない…どころかむしろちょっと嬉しそうだったので あっ(察し)という感じで心配するのをやめた。

その2人が帰って少ししてから、今度は日向くんと影山が通りかかった。どっちも競歩かってくらい早足だった。日向くん自転車あるのに乗ってなかったし、なんだただの仲良しか。

何やらまた言い合いをしていて、その声のまま｢あ！Aさんさよなら！！｣って言われたもんだからかなりびっくりした。

やっぱり月島は嫌だとか、馬鹿な俺達にはこの道しかないんだとか聞こえたから きっと月島くんに勉強教えてって頼みに行ったんだろうな。これから苦労するであろう眼鏡の後輩に 心の中で手を合わせる。


｢…Aちゃん？｣

『はいっ何でしょう』

｢なんかぼーっとしてたから｣

『そ そんなことないですよ！』

｢じゃあ今私が何話してたか言ってみて｣

『えっと、スガさんがお昼に激辛カップ麺を買って食べたせいで教室が強烈な匂いになって、苦情が殺到した事件の話です』

｢…正解｣


そしてただいま潔子先輩と帰っていますヤッタネ。超役得。

後ろの方でガサガサ言ってるのは間違いなく田中と西谷なのでとりあえず無視して、いつ不審者が出てもいいように(良くはないけど)鞄の中のおもちゃの鉄砲を確認した。


｢マネージャー勧誘の件はどう？｣

『2年は3組までまわりましたけど、今のところ誰も…。皆今の状態に落ち着いてて、帰宅部の子もこれから新しい部活に入るとか考えてないみたいで』

｢そっか。3年生もそんな感じ。分かってたけど、やっぱり難しいね｣


潔子先輩が困ったように笑う。そんな表情も素敵です。


『でも、あの… なんでまた新しい人探すことにしたんですか？』


今年度の初め、新しい部員を募集する時に 当然マネージャーの募集もしてた。

結果としてマネは増えなかったけど、元から2人いるし、無理して増やす必要はないってことで落ち着いたはずだったのに。


｢最近ね、改めて考えたの。私達3年は次の大会が終わればいなくなるけど、烏野高校排球部っていう部活はまだまだ続いていくでしょ？部のこれからのために、自分のやれることはやっておこうかと思って｣

『な、る ほど…』


そうだった。

先輩達は、ずっとここにいられるわけじゃないんだ。


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