あんたの笑顔が。【越前リョーマ】 (ページ13)

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◆ ページ13

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それはいつの日かの大会の時。
自動販売機に行くとそこにAはいた。
唸りながら2種類のボタンで行ったり来たりとしている。
Pontaのオレンジ味かグレープ味か迷っているらしい。

『ねぇ、あんた早くしてくれる？』

痺れを切らした俺は目の前のこいつに声をかける。するとこいつはキラキラした目でこちらを見つめる。

『ねぇ、どっちがいいと思う？』

『は？自分で決めなよ』

『ですよね～』

彼女はわかりやすく残念そうに頬をふくらませた。
決心したように指を伸ばす、がボタンを押せてない。そして指が震えている。

焦れったい。手を伸ばしグレープ味のボタンを押す。そいつはそれにビックリして固まっていた。
Pontaを手に取り渡すと、そいつはそれをじっと見つめる。

『イヤだった？なら交換するけど』

彼女の視線が俺に向く。
するとキラキラしたような笑顔になり俺の手を取った。

『ありがとう！私もこっちがいいかなって思ってたの！』

いや、めちゃくちゃ悩んでたじゃん。
そう思ったけど彼女の笑顔があまりに眩しかったからどうでも良くて。
俺はオレンジのボタンを押していた。

『半分こする？』

そう言えばまた嬉しそうに『したい！』と笑ったのだった。

『そう言えば、あなたの名前はなんて言うの？』

笑顔が眩しい変なやつ。

そんな彼女の笑顔が可愛くて、欲しくてたまらなかった。