帝国戦-8 ページ28
「すみませんでした！」
出会い頭に謝られて目を丸くする。春奈ちゃんは深々と頭を私に下げた。
「先輩のこと、何も考えずに無神経なこと……」
「え、ええ、ええ？ な、なんで？ 私、頰を叩いたんだけど、しかも冷やさずにその場から逃げ出して」
わたわたと手を動かして彼女の頭を上げさせる。本当に彼女が謝るところなんてない。私が勝手に怒って彼女を傷付けたのだ。
「ごめんなさい、本当にごめんなさい。後輩に手をあげるなんて、最低だよ。鬼道さんのことを伝えてなかったのは私の判断だし」
「それでも、先輩に怒るなんてただの八つ当たりです。私の方こそ最低です、ごめんなさい」
「……何が起こったんだ？」
頭を下げ合っていると、困惑気味の鬼道さんの声が聞こえた。私は咄嗟に顔をそちらに向けて頭を下げる。
「激情に駆られて貴方の妹の頬を叩きました。叱責は甘んじて受け入れます、ごめんなさい」
「ちがっ、私が悪いのお兄ちゃん！ 理不尽な怒りを先輩にぶつけました、叱るなら私だよ！」
「手を出したことは何よりも最低だよ。春奈ちゃんの気持ちはよく分かるし、悪くない」
「私だって先輩のことよく知りもせずに無神経なこといっぱい言いました、先輩が怒っても仕方がないですよ！」
「……どっちが悪いんだ？」
「私です！」
「私！」
両方が胸に手を当てて鬼道さんに主張する。なんでこんなに自責的なのこの子。私が顔を歪めて春奈ちゃんを見ていると、鬼道さんはしばらく黙ってから私に顔を向けた。
「経緯は分からないが、リコは春奈に手をあげたという認識でいいか？」
「はい」
「お兄ちゃん！」
春奈ちゃんの叫びが鋭く響く。
「そうか。なんであれ、人に手をあげることはいけないことだが……俺が言っても説得力がない。春奈、最低なことを言ったと？」
「うん。私は身勝手で無神経なことを先輩に言った。それこそ、叩かれても仕方がなかったと思う」
「そうか。双方が双方を悪くないと言っている。だから、痛み分けということで良いだろう。謝罪を繰り返しても意味がない」
む、と眉をしかめる。隣の春奈ちゃんも同じような顔をしていた。
「……春奈ちゃんがそれでいいなら」
「先輩がいいなら、私もいいですけど」
「そうか、じゃあこれで解決だな」
ぱんと手を叩いた鬼道さんに春奈ちゃんと顔を見合わせた。
「……改めて、あの時はちょっと……動揺してて。その、ごめんなさい。春奈ちゃん、頰は腫れてる？ 無理しなくていいよ」
「いえ全く」
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黒牡丹(プロフ) - 焔さん» 好みと言っていただけて本当に嬉しかったです。書けないことになれば、とにかく頭の中に思い描いていたネタだけでも箇条書きにしてでも投稿はするつもりです。嬉しく優しいお言葉、本当にありがとうございます。 (2020年7月23日 12時) (
レス) id: 51616291f0 (このIDを非表示/違反報告)
焔 - 黒牡丹さん» レスありがとうございます。黒牡丹様が帰ってきてくださって、今の心境を教えてくださっただけでも嬉しいです。ありがとうございます。 (2020年7月14日 22時) (レス) id: 3ce071c9ce (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 焔さん» コメントありがとうございます。お話の続きを私自身が書くのは無理だと悟ってしまいました、申し訳ありません。なんとかして、彼女の物語を完結させたいと思います。どうか、よろしくお願いします。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 夜さん» コメントありがとうございます。何度もコメントしてくださっていたのに、本当に申し訳ありません。私の手から離れるかもしれませんが、それでも一度思い描いた物語として皆様の元に届けたいと思っています。読んで頂いて、本当にありがとうございます。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます。こんな形でのコメント返信申し訳ありません。せめて、物語として皆様の目に触れるようにしたいと思います。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
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