帝国戦-9 ページ29
憮然とした顔で言われた。それはそれでなんとも言えなくなる。
「私こそ、先輩の事情を顧みませんでした。先輩のこと、勝手に羨んで、嫉妬しました。ごめんなさい」
「別に当然だと思……あ、うん。分かった」
春奈ちゃんの眼光に負けた。
「よく考えたらキャプテンと同級生なのに兄妹って、普通におかしいですもんね。気付かなかった自分が恥ずかしいです」
「ううん、まあもしかしたら同級生じゃないかもしれないけどねえ」
「え？」
「は？」
「ん？ あっ」
自然と言った言葉にはっとする。完全に気が緩んでいた。
どういうことかと向けられる視線に私は苦笑した。
「ええと……そんな大した話でもないですけど」
いわゆる私が記憶喪失者であること、九歳だと推定できる年齢の時に兄さんに拾われたことを話した。身元が見つからず、結局名前すらもあやふやだということも。
「兄さんは恩人だと思ってて、兄だと思ってないんじゃないかって知り合いに指摘されてね。それで、この前のことなんかが起きちゃって」
「そ、れは……」
春奈ちゃんの顔色が真っ青になっている。ぎょっとして肩を揺らした。
「え、な、なんで、なんで！？ 別に気にしなくていいよ！」
「……お前その話を聞いて気にするなは無理だろう。春奈が何を言ったかは知らんが、何となく理解できる」
「せ、先輩、なにも、なにももってないって……う、うぇぇ」
顔を覆って泣き始めた春奈ちゃんに慌てて背中をさする。嘘でしょそこまで！？
「き、気にしてない、気にしてないから！ 記憶喪失なのは元からだし、兄さんもいるから！ 幸せだから！」
「わたしもいますぅぅう」
「あーうん春奈ちゃんも大事な後輩だよ！ 木野ちゃんも大切な友達だし！ 風丸くんも大事な幼馴染！」
えーとえーと、あと誰だ！ 豪炎寺くんか！？ こういう時に頭働かないな！
「俺も」
「あとは、え？」
「俺もお前の友人だ」
鬼道さんが真っ直ぐにこちらを見つめて言った。ぱちぱちと瞬きをしてから言葉の意味を理解して、慌てて頭を下げた。
「ぇあ、あ、りがとうございます」
ドストレートに言われると結構照れる。顔赤くなってないかなとぺたりと自分の頬に手を当てた。
「……」
春奈ちゃんがこっちを凝視している。涙の跡が痛々しい。
「……なるほど、理解しました」
「何が？」
突然頷いた彼女に首を傾げる。
「不肖音無春奈、頑張らせていただきます！」
「うん？」
今度は涙ではなく瞳をキラキラさせた。何の話？
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黒牡丹(プロフ) - 焔さん» 好みと言っていただけて本当に嬉しかったです。書けないことになれば、とにかく頭の中に思い描いていたネタだけでも箇条書きにしてでも投稿はするつもりです。嬉しく優しいお言葉、本当にありがとうございます。 (2020年7月23日 12時) (
レス) id: 51616291f0 (このIDを非表示/違反報告)
焔 - 黒牡丹さん» レスありがとうございます。黒牡丹様が帰ってきてくださって、今の心境を教えてくださっただけでも嬉しいです。ありがとうございます。 (2020年7月14日 22時) (レス) id: 3ce071c9ce (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 焔さん» コメントありがとうございます。お話の続きを私自身が書くのは無理だと悟ってしまいました、申し訳ありません。なんとかして、彼女の物語を完結させたいと思います。どうか、よろしくお願いします。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 夜さん» コメントありがとうございます。何度もコメントしてくださっていたのに、本当に申し訳ありません。私の手から離れるかもしれませんが、それでも一度思い描いた物語として皆様の元に届けたいと思っています。読んで頂いて、本当にありがとうございます。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
黒牡丹(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます。こんな形でのコメント返信申し訳ありません。せめて、物語として皆様の目に触れるようにしたいと思います。 (2020年7月13日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
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