12.お祭 ページ12
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「会いてぇなー」
「望月ちゃんにか?」
「あったりまえ」
ミーティングルームで足をぶらぶらさせながらぶすっとそう答える。
国友監督はさっすがお目が高い。
俺を次の練習試合で使ってくれるらしい。
けど、
なんか足りないんだよなー。
「会いに行ってこいよ、鳴」
「つーかそろそろ告白しろ」
「あーふられたらしーぜ」
「ふられた?!!」
山岡とカルロスが勝手にしゃべり出す。
俺がAを好きってことは、たぶん1年全員知ってる。
当たり前。俺が好き、そう知らせることで変なムシ予防。
隠すメリットなんて一つもない。
ほかの奴らには触れさせたくもないんだから。
「ふられてねーよっ」
そう言いながら、机にひじをついた。
ーーーーーあれってふられたうちに入るのかな。
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毎日一緒に帰ってる。
練習試合にもほぼ呼び出すから、週末も一緒にいる。
バレンタインは誰からも受け取らない。
なんでこいつ、こんなに鈍感なの。
『…あれー?!はぐれた?!』
「………………」
『おっかしいな、さっきまであそこに…』
作戦成功。
そうメールが届いて、グッジョブとだけ返す。
クラスのやつらとグループで来て、
もちろん途中ではぐれる手配をしてあった
中学1年生の夏祭り。
浴衣に下駄でとてとて歩くAが可愛くて、
これ以上ないほど、手を引いて歩きたかった時はなかったってくらい、浴衣は俺のどストライクだった。
『仕方ない!なんか誰からもメール返ってこないし、2人で楽しんじゃおっか!』
「そーだね!」
よしよしよし。
心の中でガッツポーズ。
ほかの奴らがこのはぐれる作戦に協力してくれたのは、他でもない。
今日、俺はこいつに告白するから。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時