07.詐欺 ページ7
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そして、そのスイングに感銘を受けてしまった私は、
「いーか、男ってのはなぁ、手に入らないものほど欲しくなるんだ」
『ほほう』
「お前もそのーーミユキクン?が、手に入らないから欲しいんだろ?」
『まあ、そうだね』
「だったら、自分がどんだけいい女か、外から見せてやりゃいいんだ」
『ほほう』
「つまりだな、」
雷蔵がドンッと胸を叩く。
「男追っかけるなんてバカな考えはやめて、
薬師高校に入れ!!!!」
『へっ』
「なんとこの俺が、来年から監督に歴任だからな!!」
『なにそれテキトーな…』
「まあ女子マネいるとチームの士気上がるしよ。たのむわ」
『ほんとテキトーですね』
こんなことをいいつつも、
「俺と雷市、さらに俺が見込んで育てたあいつらも加えりゃ甲子園にだって行けるぜ!!」
『甲子園…!!』
「甲子園優勝チームのマネージャーになって、
ミユキクンを見返してやれ!!」
『…おっしゃーーーー!!!!』
天に拳を突き上げて叫ぶ。
今思えば、うまーくのせられてしまったこの時の私は、
こうして、1年後、
薬師高校に入学するのであったーーーーー
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『…で』
時は戻って入学式。
一年前とちっとも変わらないこの親子に、
私は眉間にシワをよせて聞いた。
『なんで野球部の監督やってないんですか?
だましたんですか?それとももうクビになったんですか?』
「なってねーよ!その…」
『なんですか』
「一年延期されたんだよ、」
「雷市!!!」
「理事長怒らせちゃってさ」
「雷市ーーーーー!!!!」
もうバナナ買ってやんねーぞ!とか言い合ってる親子を見ながらため息をつく。
これ、詐欺に近いんじゃーーーー
「そうそう、だからよ、モッチー」
『…はい?』
「甲子園、来年は行くからよ」
『はぁ』
「今のうちに部員、集めといてくんね?」
『はい?』
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時