48.2年 ページ48
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「そーいや、このメンツが揃うのもあの時以来じゃねぇ？」
「そーいやそうだね、これにあと、ついでにAがいればーーーーー」
『え？』
「……………え？」
準決勝終了後、トイレから出た瞬間、なんだか懐かしいメンバーと鉢合わせ。
「…………揃っちゃったね」
『え？…………………え？』
およそ2年ぶり。
一也、鳴、カルロスくん、白河くん、山岡くん、矢部くん、…ついでに私。
中3の秋以来、あのメンバーの揃った瞬間だった。
「…結局、稲実の誘いを断ったのは一也1人。
…けど、お前がいなくても、今年のチームは最強だよ。
甲子園だけは、譲れねーから」
自信満々に鳴が言って、一也の前を通りすぎる。
「…そーだ、これも言っとこ」
『…え？』
桜沢戦、完璧に抑えて見せた私の幼なじみは、
一也の前を通りすぎると、私の前に立ってニッと笑って、
「一也とハグしちゃったんだって？A」
『！な、なんで知って…』
み、みんないる前で……！
顔を赤くする私と対照的に、鳴はニンマリ笑って私に詰め寄る。
白いユニフォームがよく似合う鳴の後ろで、
カルロスくんはヒューっと口笛を吹き、
白河くんはどうでもよさそうに目をそらして、
山岡くんと矢部くんは、おおっ！？と目を見開いた。
「ひっどぉーい、俺にかっこいいって言ってくれたのは嘘だったんだぁ〜〜」
『嘘では、ない、けど…』
「けど何？」
『……………』
何も言えなくて、うつむいていると、鳴はふーと息をついて笑って、私に言った。
「…A、手ぇ出して」
『…え？』
首をかしげながら、握手するみたいに手を出すと、鳴はその手をぐいっと引っ張って、私の耳に唇を寄せた。
私にだけ聞こえる音量で、鳴がささやく。
「…明後日俺が勝ったら、」
『…………』
「一也のこと好きでいるの、もうやめて」
『な……………』
なにを、言ってるの？
目を見開いて鳴を見ると、さらにその顔が近づいて、
ほっぺたに軽く、鳴の唇が触れた。
『……………な、』
「じゃーまたね、A♡明日も応援来てね♡」
さっさと行ってしまう鳴。
その背中を見つめながら、私は熱くなった頬を抑えていた。
『なにが、どうなってるの…』
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作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2015年12月6日 0時
