42.青道 ページ42
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『こっちだよー』
青道のバスまでの道を、
青道の1年生三人を連れて走っていると、
剛速球を投げる西東京の有名人、
ゴールデンルーキー降谷くんが、私に聞いた。
「望月さん、…は御幸先輩と付き合ってるんですか?」
『付き合ってないよ〜!…なんで?』
振られたこと、言おうか言うまいか。
変に気を遣わせたくないから、言わない方向でいこうとか思って、笑顔でそう聞くと、彼は目をそらす。
「いえ……」
「こんなにいい人が御幸一也の彼女なワケないだろ!!!あ、でもたしかあんたスパイ?!」
『うたぐりぶかいなあ……あ、ほら着いた……ひゃ!』
さ い あ く だ
前を見ないで走っていた私は、駐車場のタイヤ止めにつまずいて、思いっきり体勢を崩した。
転ぶ……………!!
「…大丈夫っすか?」
知らない誰かにうまーく受け止めてもらって、なんとか転ぶのは回避。
前の人の顔を見ようと、私はゆっくり顔を上げた。
「さすがモッチー先輩!!青道のリードオフマン!!」
「今それ関係ねぇだろ、」
騒ぐ沢村くんに呆れたように返すこの人。
私は思わずつぶやいた。
『…………モッチー?』
「は?」
『あ!……えと…なんでもないです!私もモッチーって後輩に呼ばれてるから…』
やば、めっちゃ恥ずかしい。
思わず復唱しちゃったし、
ぱっと離れて何度も頭を下げると、いーっていーってとこの人は笑った。
「モッチー同士っすね!モッチー先輩!」
「薬師のマネージャーで、望月さんっていうらしいです」
小湊くんが説明してくれる。
恥ずかしさで死にそうだった私は、
一瞬だけ顔を上げて、すぐに走り去る準備をした。
『助けてくれてありがとうございました!!
それではまた明日!良い試合をしましょう!!』
「あ、おい…」
言い捨てて、走り去る。
かっこ悪いかっこ悪い…………
一也の前ではあんなにかっこつけて登場したのに…!!
でも、今ここに一也がいなくてよかったぁ…!
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「おせーよお前ら、部長がお怒りだぞ、特に沢村」
「俺だけ?!…先輩の知り合いさんに会ってたんすよ!」
「そんなら見てたわ。望月、なんであんな顔赤かったの?」
「あーそれはーーーーー」
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時