20.葉月 ページ20
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『ちょっと!!先輩達!!練習サボるのやめてくださいよ!!』
「サボってねーよ休憩だよ」
『長すぎます!!秋大だってあるんですから、
新入生来る前にしっかり実績残さなきゃ!!』
「気がはえーよマネージャー」
『早くありません!!時間なんてあっという間にすぎるんですから!さ!やりますよ!』
鬼マネージャー、ぼそりとした声が聞こえて、
睨むと先輩達が立ち上がる。
8月。
長めの夏休みになってしまった薬師高校野球部は、
猛練習に励んでいた。
私もできる限りのことはしてあげようと思って、
ドリンクも洗濯もおにぎりも、失敗だらけだった4月に比べてめちゃくちゃ上手くなっていた。
そりゃそうだ、マネージャー1人だし。
なんだかんだで練習終了の時刻。
『…………何ですかこの行列は』
「望月のマッサージ待ち」
『毎日毎日カンベンしてくださいよ…』
うおおおお、と慣れた手つきでマッサージする。
もうこれも慣れた。最初は全身痛てぇと評判だった私のマッサージは、今では
「やべぇ、身体が軽くなった………!!」
『ふふふ…………こんだけやらされてりゃ上手くもなりますよ…』
「お前もうマッサージ師なれよ」
「エステティシャン」
「他に取り柄ないしな」
「よかったな、俺達のおかげで夢が見つかって」
『心底失礼ですよね皆さん』
野球部のこのデリカシーのない発言ももう慣れた。
時間ってのは、恐ろしいものである。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時