▽ ページ10
.
「Aー」
Aの部屋の前に立つ。朝が弱いわけではないだろう彼女が、いつもは鼻歌なんか歌いながら上機嫌にちょろちょろしている時間に、今日はまだ部屋から出てきてすらいない。
「今日学校じゃねーの?」
「……ん…………」
「調子悪い?」
「…………んーん……」
「……入るよ?」
Aが小さく唸ったのを聞いて部屋のドアを開ける。ベッドにこんもり丸まってる布団の中にAも丸まって動かずにいた。
とりあえずしゃがんで視線を合わせる。
「風邪?」
「……違う…」
「頭痛は?」
「する……」
「腹壊した?」
「壊れそう助けて……」
「壊れそうって何」
文字通り死にそうな顔で俺の首に手を伸ばしたAは、そのままするりと背中に乗る。俺が彼女を乗せたまますっと立ち上がると、がしっと俺に掴まって。
「リビングに行こう…」
「歩けねーの?」
「歩けない…」
「腹痛?薬飲む?」
「5時に飲んだのに効かないの…なんなの…」
「いや俺に言われても」
言われるがままリビングに来て、ソファにおろそうとした瞬間、さっきまでの超テンション低いAはどこに行ったのか大声で叫びだす。
「あぁぁ痛いよー!お腹も心も痛いよー!」
「…え、何」
おろすのをやめて立ち上がると、「はぁー治った♡」と笑顔になる彼女。何なの、俺時間ないんだけど。
「もういい?おろすよ」
「あぁぁお腹痛いぃぃ!鳴ちゃん私もう死ぬのかな……」
「なんなんだよ」
いい加減騒がれようが何されようがソファにおろすと、つまらなそうにちぇ、と唇を尖らした。
「どっか痛いんだろ?どこ?腹?」
「い、一番は腰……」
「腰?」
「腰が砕けまして…」
「高校生でそういう行為は感心しねーな」
「そういう行為してたら苦しんでないし!鳴ちゃんキライ」
「なんで!?」
不貞腐れるAに訳が分からず、諦めて水を飲みにキッチンへ。ふと、棚にある薬に目が行った。
…なんだ、普通に言えばいいのに。
むぅーっと膨れてる彼女に「早く仕事行け変態!」と叫ばれて、大人の対応をしてやろうと思ってた俺はプラン変更。
はいはい、と流してドアに手をかけた時、Aを振り向いてにやりと笑う。
「腰が砕けてるAのために、1週間下着は自分で洗う権やるよ♡」
ばたん、とドアを閉めたあと、
「鳴ちゃん大っ嫌い!!!!」
大声で叫ぶ声が聞こえて小さく笑った。
.
486人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すぅ。(プロフ) - いまだに見てます( ; ; )成瀬ちゃんとすたさんの書く鳴ちゃん本当に大好きです( ; ; ) (2021年5月24日 22時) (レス) id: acb47aa965 (このIDを非表示/違反報告)
める - 最近見始めたんですけど、ほんとに楽しませて貰ってます!!成宮さん凄く可愛くて大好きです! (2021年3月30日 16時) (レス) id: 7337478d02 (このIDを非表示/違反報告)
あいのすけ(プロフ) - この小説、可愛くて大好きです!元々鳴ちゃんが好きなのですが、その中でも特に好きです!これからも無理なさらずに、更新頑張ってください!応援しています!! (2017年3月26日 23時) (レス) id: bd72f4a22e (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新待ってます!!!応援します!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏樹 - あの…フラグ作品でも、「にゃんにゃん。」が見たいです!お願いします!!「にゃんにゃん。」を復活してください!! (2017年1月6日 20時) (レス) id: 48413e65b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なるすた | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月23日 20時