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ぽっかりあいた空間に響く鼻歌。
それを聞くのはひとり暮らしだった身としては悪くはないけど
「A」
「んー?」
「風呂なげぇよ」
「じゃーいっしょに入る?」
女の風呂の長さは異常。
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風呂から聞こえるいたずらっぽい声に、ちゃぷちゃぷ音の響くドアの前に背もたれて座る俺ははぁと息をついた。
「誰がお前なんかと入るかよ。この幼児体型」
「ひっどい!!私の裸見たこともないくせに!」
「いや知ってるけど」
「…え」
くぐもって聞こえる声。
一緒にお風呂入ろうだなんて馬鹿なこと言ってくるこの女子高生を恥ずかしがらせてやろうかと、
俺はなんでもないふうに笑いを押し殺しながら言った。
「だって普通に下着干してあるし」
「…………」
「たまに俺が洗濯してるし」
「…………」
「わりと可愛いのつけてるよな」
「鳴ちゃん嫌い!!!!」
ざぶん!!と肩までお湯に浸かる音。
作戦成功。珍しく恥じらってる。
風呂の前で声を押し殺しながらと笑っていると、聞こえたらしいAがごんごん扉を叩いて叫んだ。
「もうやだ!!あっち行ってヘンタイ!!」
「居候がすごい身分だことで」
「もう出るからあっち行って!!」
「一緒に入っていいんじゃなかったの?」
「〜〜〜〜〜〜っ、いいからテレビでも見といてよ!」
娘に毛嫌いされる父親ってこんな感じなのかなとか思いながら違う部屋に移動。
…父親?俺にとってのAって娘なの?
テレビを見ながらくああとあくびをしていると、
出てきたらしいAがタオルで髪をぽんぽん拭きながら歩いてくる。
顔がほんのり赤いのは、風呂上がりだからかそうじゃないのか。
「…鳴ちゃん」
「んー?」
「見た下着ってどれ」
「…………は?」
「せめて上下揃ってるやつを…」
「揃ってなかったけど」
「あああ…」
がっくりと項垂れるA。
珍しく落ち込むこいつが可愛くて、追い打ちをかけるみたく笑って口を開いた。
「確か色は白と…」
「やめて!!」
「毛玉すごかったかも」
「え゛っ?!」
「嘘だっての。テカテカしてて毛玉できるような素材じゃなかった」
「そんな細かく見たわけ?!!この変態!!!しばらく近寄らないで!!!!」
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すぅ。(プロフ) - いまだに見てます( ; ; )成瀬ちゃんとすたさんの書く鳴ちゃん本当に大好きです( ; ; ) (2021年5月24日 22時) (レス) id: acb47aa965 (このIDを非表示/違反報告)
める - 最近見始めたんですけど、ほんとに楽しませて貰ってます!!成宮さん凄く可愛くて大好きです! (2021年3月30日 16時) (レス) id: 7337478d02 (このIDを非表示/違反報告)
あいのすけ(プロフ) - この小説、可愛くて大好きです!元々鳴ちゃんが好きなのですが、その中でも特に好きです!これからも無理なさらずに、更新頑張ってください!応援しています!! (2017年3月26日 23時) (レス) id: bd72f4a22e (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新待ってます!!!応援します!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏樹 - あの…フラグ作品でも、「にゃんにゃん。」が見たいです!お願いします!!「にゃんにゃん。」を復活してください!! (2017年1月6日 20時) (レス) id: 48413e65b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるすた | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月23日 20時