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「ちょ、おい、A…?」
「あのね、鳴ちゃん。私ね、ずっと前から…」
Aの目が、こんなん初めて見るわってくらいとろんとしてる。
制服のリボンを外してするりとベッドの下に落とすと、俺の腹の上に彼女は座って、しっとりとした声で、
「ずっと前から、鳴ちゃんにこうされたかったの…」
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「……………」
窓の外から小鳥の気持ちのいい囀りが聞こえる。
朝だ。気持ちのいい朝だ。ムカつくくらい最高の朝だ。
ふざけんなよ俺、
ぽわんとAの顔を思い浮かべて、ベッドの上で1人首をぶんぶん振りまくった。やべーよ、やべって。
なんつー夢見てんだ俺。
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「おっはよん!気持ちのいい朝だねぇ!」
セーラー服をびしっと着こなして、いつも通りAは俺に新鮮な笑顔を見せて声をかけた。
こいつの挙動が眩しくて健気な度に、俺の良心はここぞと痛む。痛むも痛む痛みまくり。
「あのねあのね鳴ちゃん、実はね」
「んー?」
「今日、晩御飯一緒に食べたくて…」
晩メシ!!!
頭の中で一気に思考が回転した。
晩飯一緒→こいつ風呂入るの早い→風呂上りのこいつと至近距離
無理俺襲う絶対襲う
「あ、あー…俺今日遅いから無理かも」
「えー?なんで?」
「あー…」
さも残念そうに眉を下げるA。
やばいやばいなんて言い訳、
焦って目を泳がせていると、疑うように俺を見ていたAの顔がみるみるうちに一変した。口をきっと結んで目を鋭くして、
「…もしかして彼女できた?」
「…は?!」
「…別に鳴ちゃんに彼女がいたって私はいいけどさ、べつに、ただのファンだしべつに、…」
Aの目元がうるうるし出す。嘘だろ、おい、ちょっと待て、
「別に、私……」
「………」
「………」
「………」
「………なんでもないっ、学校行ってくる!!」
顔を真っ赤にしてAはドタバタ出て行った。
あいつがいなくなってから、今度は俺の気が抜ける番で。「…マジかよ」と呟いてから、力なく机に顔を乗せるばかりだった。
「ダメだって、天下の成宮鳴がJKにとかマジでダメなやつ…」
顔がやたら熱かったから、Aが早々に出かけてくれてホントに助かった。
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すぅ。(プロフ) - いまだに見てます( ; ; )成瀬ちゃんとすたさんの書く鳴ちゃん本当に大好きです( ; ; ) (2021年5月24日 22時) (レス) id: acb47aa965 (このIDを非表示/違反報告)
める - 最近見始めたんですけど、ほんとに楽しませて貰ってます!!成宮さん凄く可愛くて大好きです! (2021年3月30日 16時) (レス) id: 7337478d02 (このIDを非表示/違反報告)
あいのすけ(プロフ) - この小説、可愛くて大好きです!元々鳴ちゃんが好きなのですが、その中でも特に好きです!これからも無理なさらずに、更新頑張ってください!応援しています!! (2017年3月26日 23時) (レス) id: bd72f4a22e (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新待ってます!!!応援します!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏樹 - あの…フラグ作品でも、「にゃんにゃん。」が見たいです!お願いします!!「にゃんにゃん。」を復活してください!! (2017年1月6日 20時) (レス) id: 48413e65b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるすた | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月23日 20時