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鼻を擽る甘い匂い。

玄関のドアを開けた瞬間匂うなんていつぶりだろう。多分中学生ぶり。クッキーかタルトか、クッキーの線が濃いな。

リビングのドアを開けると香りはより強まる。




「あっ、鳴ちゃんおかえりー」

「何してんの?」

「クッキー焼いた!」




「見てよこれ」と見せられたのは器用にバットやグローブに型どられた出来立てのクッキー。女子かよ、なんて思いながら「上手いじゃん」と言うと、得意気に笑う。




「お味の方も美味いよ!」




自信たっぷりに差し出されたので1つ取る。




「……苦いんだけど!」

「……え?」

「苦い!全然甘くない」

「……あー…うん、それはあれだよ、鳴ちゃんの引きが悪かったの、ハズレだよハズレ」

「当たり外れがあんのかこのクッキー」




「この辺は美味しいから!」と指さされた部分のクッキーを食べる勇気は俺にはない。どうせ苦い。どうせ。

ちょっと焼きすぎちゃったな!ってレベルじゃないからこれ。かなりやっちゃったやつ。




「……」

「なんで黙るの!」

「俺腹いっぱい」

「どういうこと!」




頬を膨らまして俺を睨む。仮にも俺、居候させてあげてる身なんだけど。追い出されたら…とかは微塵も考えてないらしい。

俺も追い出す気はないんだけども。




「もう寝る!」

「なら歯磨いて洗顔してトイレ行って──」

「煩いなわかってるわ!!」




ぷんすか怒りながら歯を磨いて洗顔してトイレを済ませた彼女は、そのまま俺が貸してやった部屋に入っていく。

その後ろ姿を笑いながら見送ると、さて…と冷蔵庫から缶ビールを一つ取りだした。




「……ビールに対してつまみ多いな…」




3皿に盛り付けられたクッキーに向かって、軽く溜息をついた。




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設定タグ:ダイヤのA , 成宮鳴   
作品ジャンル:アニメ
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すぅ。(プロフ) - いまだに見てます( ; ; )成瀬ちゃんとすたさんの書く鳴ちゃん本当に大好きです( ; ; ) (2021年5月24日 22時) (レス) id: acb47aa965 (このIDを非表示/違反報告)
める - 最近見始めたんですけど、ほんとに楽しませて貰ってます!!成宮さん凄く可愛くて大好きです! (2021年3月30日 16時) (レス) id: 7337478d02 (このIDを非表示/違反報告)
あいのすけ(プロフ) - この小説、可愛くて大好きです!元々鳴ちゃんが好きなのですが、その中でも特に好きです!これからも無理なさらずに、更新頑張ってください!応援しています!! (2017年3月26日 23時) (レス) id: bd72f4a22e (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新待ってます!!!応援します!!! (2017年3月21日 20時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏樹 - あの…フラグ作品でも、「にゃんにゃん。」が見たいです!お願いします!!「にゃんにゃん。」を復活してください!! (2017年1月6日 20時) (レス) id: 48413e65b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なるすた | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年3月23日 20時

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