169.口実 ページ41
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『…っあー』
ごろん、と部屋着のまま寝返りを打った。
お昼の10時になりそうなのにまだ布団の中。
高校を卒業してからというもの、我ながらこの怠惰な生活には嫌気がさす。まあ自分のせいなんだけど。
『頭いたい…』
最悪だ。昨日真田に止めてもらえてよかった。
止めてもらってもこのひどい二日酔い。
大学にも慣れた3年生の春。
そういえば高3の時は薬師がセンバツ行った時期だなとか思いながらケータイでニュースのページを開いた。
いつもの癖で押してしまうスポーツのページ。
そこにはでかでかと成宮鳴の文字、
大活躍する私の彼氏の写真と、この左腕を絶賛する記事があまりにも大袈裟に書かれていた。
ちゃらちゃらと流し読みしてため息。
『………あー、』
私と鳴は、住む世界が違うだなんて思ったのはいつからだっけ。
鳴がプロ入りしてすぐ?活躍しだしてから?
それでも言葉にしないだけで、頭の中では痛いくらいわかってた。
活躍しているのは一也も同じ、
私は住む世界が違うだなんて言い訳して、鳴と離れる口実を作ってるだけ。
一也を好きになっていい口実を探してるだけ。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2016年2月16日 17時