156.ガセ ページ27
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「唯ー!次移動教室!」
「先行ってて、教科書忘れたっぽい借りてくる」
「遅刻すんなよー?」
憧れてた青道マネ。先輩1人、後輩1人。
私の代にはたよれる幸子がいる。
正直、ラッキー。
「ねー、知ってる?あの噂」
「唯野球部だよ、聞いてみようよ、」
教科書を借りに行ったら、他クラスの女の子たちがそわそわしながら私を見て、なんだか気になった私も「噂って?」と聞いてみる。
「あのね、野球部の御幸くん。…が、」
「高島先生と、付き合ってるってウワサ」
その時、私も、…その場にいなかったけどさっちんも、そんなこと考えたこともなかった。
つまりこの噂とやらが、野球部が発端でないことは明らか。…その後も、この噂がどこから流れたのかは、私達は全くわからないままこの事件を終えるのだけれど。
「御幸くんってなんか大人っぽいもんねー、同学年の女子に興味なさそうだなって思ってたら、」
「まさかの高島先生!でもありえるよねあの2人!」
「悔しいけどお似合い〜!!」
彼女達より、私は当然、距離が近い。
御幸にも、高島先生にも。
ーー「礼ちゃん、」
そう笑う彼が、すぐに目に浮かんだ。でもすぐに、その記憶は違う女の子で書き換えられる。
ーー『一也と、付き合うことになったの』
望月A。薬師でたった1人でマネージャーする、ちょっと変わった女の子。
ーー『青道マネさん多くていいですね!私、薬師の望月って言います。よかったら仲良くしてください』
ーー「おいモッチー!!」薬師の監督さんから彼女はそう呼ばれて、すぐに「モッチー」の愛称で、私達は仲を縮めることになる。
「…その噂、私はガセだと思うよ」
御幸は、モッチーと付き合ってるし。
2言目をなんとか喉の奥に押しとどめて、事実だけを否定すると、彼女達は
「唯がそう言うならそうなんだろーなー」
「でもちょっとラッキー。御幸くん、狙ってる子いくらでもいるもんね」
その話はそこで終わって、私は借りた教科書を手に持って移動教室へと走った。
そしてその数日後、私はモッチーからのメールで、2人が破局したことを知ることになる。
原因は、…原因となった人物は他でもない、
高島先生だった。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2016年2月16日 17時