171.馴合 ページ43
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リビングのテーブルで幸せそうに炒飯を食べる私の彼氏。
私は両肘を手について、食べる姿をじーっと見つめると、じとーっと見ながら彼に聞いた。
『…なんで連絡も入れずに来るわけ』
「サプライズだから」
『昨日試合だったくせに』
「愛する彼女のために飛んできちゃった」
『で、プレゼントは?』
「俺♡」
『あきれた』
もぐもぐと私が適当に作った炒飯を食べながら鳴は相変わらず可愛く笑って私に言葉を投げかける。
「お前こそ誕生日のくせに10時起きかよ。これ以上年取りたくないってか?」
『あんまり言うと怒るよ』
「さすがに彼氏が会いに来たのにノーブラで寝てましたはねーだろ」
『今はつけてます変態』
わははっと笑って最後のひとくちを食べ終わった鳴は「洗い物ここでい?」と笑って洗い桶にお皿を浸けた。
『いいよ』と答えてんーと伸びをしていると、立ち上がった鳴がぐわしっと私の頭を掴んだ。
「A」
『…んー?』
ずいっと顔が近づく。
『…なーに、』
「いやあ、成長したなあと思って」
『…なにそれ』
照れたくなくて目線をそらしたら、「お、逃げた」と鳴が笑う。
その言葉に負けじとがちんと目を合わせると、綺麗に笑う鳴とぴったり目線が交わって、その綺麗な瞳に釘付けになった。
「誕生日おめでとう」
イタズラっぽく、目の奥まで笑って見える
近づく顔に目を閉じた。
頭をつかむ手が頬へと落ちる。
すべすべと親指で目元を撫でてーーーー
『むぐっ?!』
「ばーか」
鼻をつままれて目を開けると、笑った鳴が手を離してさっさと私から離れて上着を着出す。
「でかけるよ。さっさと準備して」
『…かっこつけんなバカ』
騙された私はぶすっとしながらそう言って、
もう一度鳴はにひひと笑いながら私を見た。
「歯磨きもしてねーやつとキスできるかよ」
『自分だって同じでしょ!』
「俺夜にしたもん」
『私だって夜くらい歯磨くし』
「頼むから毎日磨いて」
『…鳴!!』
そう叫ぶと楽しそうに笑う鳴。
「俺そのへんのコンビニにいるから」と手を振りながら出ていく後ろ姿に、『すぐいくから』と声をかけた。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2016年2月16日 17時