163.助人 ページ34
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「御幸くん。あとで職員室に来てくれる?」
生徒指導の教師にそう言われて、不思議に思いつつ「わかりました」と頷いた。
すると、「あ、そうだ」と振り向きざまに先生は言って、
「高島先生も一緒だから」
その瞬間すべてを察した。
バレる時がいつか来ることはわかっていた。
それでもって、バレた時どうするかは2人で決めてあった。
ーーすべて礼ちゃんのせいにすること。
ーーーとは言っても、全部礼ちゃんのせいにしてみろ、左遷しかねーじゃん。
職員室までの廊下を頭を回しながらゆっくりゆっくり歩いていると、いきなり後ろから肩をつかまれて振り返った。
そいつは、「おい!!」という言葉とともに、力強く俺の肩をつかんで、
「しばらく隠れてろ。俺達がなんとかしてやる」
振り返ると、息を上げつつそう言ったのは倉持。
後ろには俺と同室の奴や部員が何人かいて、
「…なに?どしたのお前ら」
「俺達が助けてやるっつってんだよ。お前は何聞かれてもしらばっくれてろ」
「…話はもう出回ってるわけね。俺のこと、助けてくれるんだ?」
倉持はあの現場を見てた。
挑発的に笑いながら倉持にそう聞くと、目の前のこいつは「俺だって助けたかねーよ、」と言って息をついて、
「望月に頼まれたんだよ。…せいぜい感謝しろよ、バカキャプテン」
倉持と俺の同室の奴らが上手く話をつけたらしい。
俺と礼ちゃんの関係は、ただの根も葉もない噂として扱われ、この事件は幕を下ろした。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2016年2月16日 17時