152.馬鹿 ページ23
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つーか、言えるかよこんなこと。
今更望月が好きです?
こんなに近いのに?こんなに一緒にいるのに?
こんだけ御幸に振り回されてダメージ食らってるこいつに、
俺まで好きだなんて言い出したら、こいつ、ぶっ壊れちゃうんじゃねーの?
ーー「真田くんって、何考えてんのかサッパリわかんない」
中学から付き合ってた前の彼女。
俺がセンバツに出たら喜んでたくせに、
練習きつくなって会えなくなるとすぐに文句を垂れる。
そんでもって小さなこじれから破局。
でもなんとも思ってない自分がいた。
ーー『センバツベスト4おめでとう、頼れるエース♡』
なんで俺、お前なんかに惹かれてんだろ。
ほんと、意味わかんないわ、自分で。
もしかしたら、こいつだったら、
俺が野球に打ち込めば打ち込むほど喜んでくれるから?
じゃあそれって友情と何が違うの?
母親代わりにしたいだけなの?
ーー『私、鳴と付き合うことにしたんだ』
もし、御幸に振られたと言ったあの時、
俺がはぐらかさなかったら、「お前が好きだ」と言ってたら、お前はなんて答えてた?
ー「俺がお前を幸せにするよ」
そう言ったら、…成宮より先に言ってたら、俺と付き合ってた?
『真田!…………さーなーだ!!』
「…おー。何?望月」
いつの間にか後ろに立ってたこいつに、「やべボーッとしてた」とか思いながら振り返って笑った。
望月は『しっかりしてよねエース』とかいいながら、にひっと笑って俺を見る。
『今日、近くのコンビニでおにぎりセールやってるよ!一緒に行こ!!』
久しぶりに見たその笑顔に、
こいつが元気ならまあいいかって、
思っちゃってる自分がいた。
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わりと自分は周り見えてると思うし、
空気だって読めてると思う。
望月に「意地なんじゃねーの?」そういったのも、
あながち間違ってないと、自分でも思ってる。
好きな子の幸せ願うのも、たまには悪くない、だっけ。
「俺が引っかき回すんだったら、こいつが笑ってる方がマシ」
ぴったりの言葉を知っている。
こういうのを、お人好しのバカって言うんだ。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2016年2月16日 17時