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Diary2 本の延滞ダメ、絶対。 ページ3

俺の名前は黛千尋。洛山高校三年生だ。目の前で仁王立ちしているのは神崎A。一つ下の後輩に当たる図書委員。

今年になって俺は度々本を延滞するようになった。原因?赤司にバスケ部に連れ戻されたことに決まってんだろ。ま、それだけじゃないんだけどな。こいつは一年の時から俺に気づいていた唯一の奴だった。

あれは去年の四月、進級してすぐの頃俺は借りていた本の期限が迫っていたことに気づいた。返却ポストが空いていない時間に行くのは拒否したいところだがそうもいかない。今日を逃して仕舞えば三連休に突入してしまう。昼休みに図書室に本を持っていくとカウンターに座っていたのが当時一年生だった神崎だった。

神崎は目の前に立った俺にすぐ気づいた。そんなこと当然と思うか?俺に限ってはそうじゃない。この影の薄さのせいで自動ドアにも無視されるし散々な生活を送っている。とにかく俺にとってはすぐに気づかれるということは慣れないことなのだ。

偶然なのか、それとも本当に俺が普通に見えているのか確かめるために本を幾つか見繕って再びカウンターに持っていく。
今度も神崎は俺にすぐに気づいた。手際よくバーコードを読み取りスタンプを押す。

「返却は二週間後までにお願いします」

お決まりの文句と共に上げられた顔はしっかりと俺を見据えていた。
そんなことがあって俺は神崎が俺のことを認識出来るという結論に至った。但し条件付きで、だ。
それは俺が本を持っているか読んでいる時だけ。事実、ただ校内ですれ違っただけでは俺に気づかなかったのだから。

そんなことを何回か繰り返して俺は三年生になった。退部した筈なのに連れ戻されたバスケ部の練習のせいで返却が滞りがちになっていった。うちの図書室はちょっと変わっていて延滞者には直接取り立てがくる。俺の前に現れたのは神崎だった。話したのもそれが初めてだ。

そこから少しずつ話すようになった。以外にも俺とあいつの趣味は似ていた。……ラノベ以外で。
そしてどんどんと時は過ぎ、俺の卒業まで後二ヶ月。俺はようやく自覚した。
俺、黛千尋は神崎Aに惚れていると。

Diary3 ファインダー越しの世界は純粋で汚れてはいない。→←Diary1 幽霊だろうがなんだろうが正体が分かってれば怖くない。



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黛夕那(#・∀・#)(プロフ) - あの、初めの千尋saidで神崎葉月ってでたんですが… (2019年9月1日 12時) (レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
ゲスでゲス - かぁいい作品をありがとうございました・・・ (2018年8月26日 9時) (レス) id: ed4900357a (このIDを非表示/違反報告)
カコ - すごく可愛かった。キュンとした。素敵な作品をありがとう。 (2018年7月22日 21時) (レス) id: 87181eb08c (このIDを非表示/違反報告)
マリア - 続読めたいです (2017年9月26日 10時) (レス) id: 8569ec9184 (このIDを非表示/違反報告)
葉隠叶芽(プロフ) - 飛鳥さん» ありがとうございます!なるべく早く書き上げられるようにしますので楽しみに待っててください! (2017年7月7日 23時) (レス) id: 0edaa43e99 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葉隠叶芽 | 作成日時:2017年3月23日 20時

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