Diary13 面倒臭い相手は何故かこちらの都合を知らない。 ページ14
黛さんと別れて家への道を歩く。手に持った袋はずしりと重さを伝えてくるけどこれが全て本の重さだからきつくはない。寧ろ嬉しいくらいだ。
既に日が落ちかけた道にはオレンジの光が満ちている。西側の空にある夕焼けを眺めながらテクテクと歩を進めた。
ブブ、とバイブの音が鳴ってスマホを取り出せばそこには母からのお使いメール。
「スーパーでお刺身買ってきて、種類はお任せ。今日は手巻き寿司です。イカとイクラは家にあります。ナッシュ君いるから多めにね、かぁ……結局あいつうちでご飯食べるのか……まさか泊まるとか言ってるんじゃないだろうな」
はぁぁと長いため息が漏れる。あいつが来る時はろくな事がない。仕方なく道を曲がってスーパーの方へ行く。そう言えば、といつも持ち歩いている飴のストックが切れていたことを思い出す。ついでに買ってしまおう。どうせ帰ったら代金分は返してもらえるのだ。
スーパーの自動ドアをくぐり籠を手に取る。魚が並んでいるところに行きしばし眺めてから大きめの刺身盛り合わせを二つ、籠に入れる。ついでにネギトロ用のたたきも籠に入れてお菓子のコーナーへ。数種類ある飴の中、一番量が多いものを選んでレジに並んだ。
「ただいまー」
ガチャリ、鍵を開けて家の中に入る。お帰りーという母の声が返ってきた。冷蔵庫の扉を開け、刺身を突っ込む。どうだった？と聞いてくる母を尻目に(私が黛さんと出かけるということは何故か母にはバレていた)階段を上がって二階の自分の部屋に入る。
『よお、遅かったじゃねーかA』
『あんたはなんで私の部屋にいるのかなぁ、ナッシュ』
床で雑誌を読んでいた金髪碧眼の野郎はナッシュ・ゴールド・Jr。私の血の繋がらない従兄である。ちなみに私の一つ上。アメリカに住んでいるはずのこいつは何故かちょくちょく日本にやってくるのだ。小さい頃はそれは可愛らしかったものだが今や傲岸不遜な最低野郎である。
『今から私着替えるからちょっと出てってくれない？』
返事を待たずに部屋から追い出す。こいつに対しては遠慮なく扱うのが最善だと過去から私は学習した。クローゼットから部屋着となるトレーナーとジーンズを取り出す。そっと髪から黛さんがくれたアクセサリーを外す。
「……」
しばし悩んでからそっと引き出しの中にそれを閉まった。
Diary14 眩しい、けれど好ましい。→←Diary12 垣間見える独占欲は扱いづらい。
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黛夕那(#・∀・#)(プロフ) - あの、初めの千尋saidで神崎葉月ってでたんですが… (2019年9月1日 12時) (
レス) id: 590d5b732c (このIDを非表示/違反報告)
ゲスでゲス - かぁいい作品をありがとうございました・・・ (2018年8月26日 9時) (レス) id: ed4900357a (このIDを非表示/違反報告)
カコ - すごく可愛かった。キュンとした。素敵な作品をありがとう。 (2018年7月22日 21時) (レス) id: 87181eb08c (このIDを非表示/違反報告)
マリア - 続読めたいです (2017年9月26日 10時) (レス) id: 8569ec9184 (このIDを非表示/違反報告)
葉隠叶芽(プロフ) - 飛鳥さん» ありがとうございます！なるべく早く書き上げられるようにしますので楽しみに待っててください！ (2017年7月7日 23時) (レス) id: 0edaa43e99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉隠叶芽 | 作成日時：2017年3月23日 20時
