SPARC

信頼を揺らがせるのは…（t) ページ26

ハッとした顔して
ミツが俺を仰ぎ見た

「けんと……泣いてたのか？」

そう呟いて
下唇を噛む仕草をした

［俺らも見ちゃったからな！誤魔化せないぜ？ガッチャンも見たに決まってる！あの様子じゃ！……今更何で横恋慕すんのさ！あの二人のこと…最初に理解して認めて……見守ってくって言ったの！ミツだろ？！それが何なんだよ！！！］

「……してない……横恋慕なんてしてないけど……」

｛抱き合ってジャレ合ってたじゃん！普通さ！楽屋でみんないるとこでジャレ合うのはわかるよ！でも……二人きりで…って……浅はかだよね？｝


「ぁ……けんと……捜さなきゃ……」

［行かせない！］

「でも！」

［ちゃんと……話してよ……じゃなきゃ行かせない！ガッチャンはニカが捜しに行ったから平気だよ！］


ミツの身体は
細かく震えてた

俺は普段こんなに声を荒げる事なんて無い

俺の気持ちが
真っ直ぐ伝わるはずだから
俺は隠さず
思いのままにミツを責めた

頭のいいミツは
確実に状況を
理解したに違いない

俺らは
そういうの苦手だから
上手く振る舞えない質だけど

ミツは
そんな俺らのことだって
その回転の早さで

理解して
真っ直ぐ受け止めて

向き合ってくれた

「……言えない……けど……ニカは何にも悪くないんだ……ごめん。……ごめん……俺が弱いから……俺……」


おれば思わず
ミツの頬を思い切り……

叩いてた……


背の低いミツの頭が左に大きく振れた
前髪が瞳を隠し
乱れたままで俯いている

宮田が目を見開いて
オロオロしてる

それでもミツは
「……ｺﾞﾒﾝ……」と
小さく呟くだけで


イライラした

「自分が弱いとさ！人の恋人横取りすんの？ミツ……どうしたの？俺らじゃ力になれないの？そんな浅はかなことする人じゃないでしょ！」


「ごめん……」



｛ミツ……それが答え？わかんないよ……ちゃんと言ってよ……｝



人が集まり出して
少しクールダウンしてきた頭で
いくら待っても答えないミツを見つめていた


［……もう…いい……］

踵を返すようにして
俺はミツに背を向けた

宮田がミツに手を差し伸べて
立たせようとしてるのが
更にイライラを募らせる

その手を掴もうとして
直ぐに躊躇して…
ミツは自力で
ゆっくり立ち上がった

［宮田！！！行くぞ！！！］
｛は！はいっ！！！｝

完全にミツのこと疑ってる訳じゃない…
何か理由があるはずだって思ってる
でも答えないってことは……
イライラする
俺らじゃ力になれないの？

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