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君への欠片2 ページ7

その後セトとは他愛のない話しをして僕はベッドに潜り込んだ。
なかなか眠れず、ぼーっとしていると自然に瞼は降りてきた。



そして僕はある‘夢’を見た。

まだまだ蒸し暑い夜、一軒の家が燃えていた。
僕以外にもたくさんの人たちが燃え盛る家を見ていた。

「ああ...可哀相に。とうとう家に火をつけちまったのか、あの旦那」

「この燃え方で消防団も来てないようじゃここの子も助からないだろうね...」

僕のまわりの大人たちは可哀相にと思っているようには見えなかった。
どの人間もこの家がなくなることに喜んでいるようだった。
僕は大人たちの会話なんて聞いてはいなっかたのだが。
大人たちの間をすりぬけながら、僕は引き寄せられるようにして燃える家の前に立っていた。
大人たちが表情ひとつ変えないことから僕は見えていないようだった。

「....けて..」

「!...誰かいる...?」

家の中から声が聞こえた気がした。
僕はさらに家へと足を進める。
一歩近づくごとに声がはっきりしてきた。
いつもきいてたあのハスキーボイス

「カノッ...」

火の中から聞こえてくる。
この声の主を僕は知っている。

「熱いんだ...息もしにくくて...消えてしまいそうなんだ....」

僕は扉の前に立っていた。
この扉の先に声の主がいるのは確かだった。
ここを開けば....!
きっと彼女はいる...!
ドアノブに手をかけようとしたそのときだった。
僕の腕を誰かが掴んだ。

「熱い...誰か.....」

ドアの向こうからは辛そうな彼女の声がきこえる。
放してくれよ....
放せよっ!!!!!

「彼女を...キド助けたいんだ!!!会いたいんだ!!」

僕の腕を掴む誰かは放そうとする気配すらなかった。
むしろ先ほどよりも強く握られている気がする。
どうして放してくれないんだ....
このままだとキドが死んで...

「放し...」

「だめ」

懐かしい声だった。
彼女も随分と前に僕の前から姿を消していた。

「開けさせないよ修哉」

夢の中なのに。
掴まれたその手は随分と現実味を帯びていた。

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mirry - つぼみは大丈夫なのでしょうか?不安&ドキドキです。 (2016年2月13日 17時) (レス) id: 77264d333c (このIDを非表示/違反報告)
スカイ - 早く続きが読みたいです! (2015年4月3日 15時) (レス) id: bac266e34f (このIDを非表示/違反報告)
珠紀 - めっちゃ面白いです!続きお願いします! (2015年3月12日 18時) (レス) id: 51b3d3f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
未來@リリース(プロフ) - ぷるっぷー*さん» 返信遅れてすみません>< 私なんてまだまだですが、コツといったら頭の中でその情景をしっかり思い描く事ですかね; 上手く説明できなくてすみません; (2015年1月26日 23時) (レス) id: 4fd6922d31 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるっぷー*(プロフ) - 面白いです!!!めっちゃ感動しました。更新がんばってください!あと、どうやったらこんな素晴らしい小説ができるのでしょうか……。教えてくださいm(+_+)m (2015年1月9日 17時) (レス) id: 70fa77ef29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリース | 作者ホームページ:http://え"←  
作成日時:2014年10月4日 22時

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