【銀魂】打ち上げ花火【3z】

本気はマジ ページ36

空には赤みがかかり、しんみりとした雰囲気を漂わせる。

まだ帰りたくない。そんな言葉を言える訳もない。
もっと素直だったら言えたのに。
だったら、今日だけ。
素直じゃなくて、我が儘でもいいですか？




「そろそろ、帰るか。」


「あっ…あの、えっと、」


「どうした？何か言いたい事でもあるのか？具合が悪いのか？」




違う。そうじゃない、言いたい。だけど、私は臆病だから。
何故出そうなのに出ない。
本当に素直じゃないのは嫌だ。

きっと今日だけなら。今日だけ。




「あの、最後に観覧車乗らない…？」


「観覧車…？何故だ？」


「いや、あの、嫌だったらいいけど…」


「あぁ、Aはアレが乗りたいのだな。一緒に乗ろうではないか。」


「いいの！？じゃなかった…ありがとう。」




ここの観覧車で見る夕日はとても綺麗で、小さな頃の記憶が今でも瞼の裏に甦って来るのだ。

あれは、お父さんとお母さん…だったかな。もう顔も思い出せないけど、とても幸せだったんだ。


回想を織り交ぜながらも、乗り込む。
すると、ゆっくり上昇を始める。




「楽しかったね。」


「そうだな。とても楽しかったぞ。」


「何かさ、デートみたい。」


「俺はそのつもりで来ていたが？」


「何言ってんの？」


「いや、何でもない。気にするな。」




つまりはデートのつもりで来ていたと？そう言う事ですか？

どうせ嘘に決まってる。小太郎は嘘吐かないけど嘘に決まってる。

あれ、矛盾してる。
つまりは本気って事ですよね。
はぁ？本気？えっ…本気？本気と書いてマジと読むの？本気で言ってるんですか？
あーあ。頭の中がグチャグチャになってきた。もう考えたくない。


いつの間にか頂上付近まで到達しており、先程より綺麗に夕日が望める。

すると、真面目な顔をした小太郎が




「A落ち着いて話を聞いてくれ。俺は…」




その言葉を聞いた瞬間、訳も分からず涙を流した。

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