12 電話 ページ23
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珍しく酔っ払った 。
すきですきでしょうがなくて、
会いたいのに会えないのがつらくて、
我慢できなかった。
酔っ払って電話するなんて、
恋人でもないのに、
面倒くさい女だと思われるに決まってる
年下だから、若気の至りだから、って思ってくれないかな
「 わあ、未成年飲酒...
そんな悪い子に育ててないのに 」
そう言って、電話の向こうで笑っている。
うれしいなあ、笑ってくれるだけで 。
笑わせたい一心でギャグ言ってみたりして
普段のわたしには難しいことが、今ならできる。
電話越しの掠れた笑い声が
すごく色っぽくて
耳にじんじん響いて、
耐えられなくてぎゅっと目を瞑って
布団に顔を押し付けた。
スンさんと話していると、時間はすぐに過ぎてしまう。
「 ゆずちゃん、もう眠いんでしょう 」
優しい声。
好きすぎる。
まだずーっとずーっと
話していたい。
一緒にいたい。
「 まだ大丈夫... 」
「 大丈夫に見えないよ、もう寝たほうがいい 」
今すぐ、会いたいなあ
「 会いたいです 」
会話が止まる。
緊張なんて文字、頭になかった。
ただ、スンさんがわたしだけに集中していることが、嬉しかった。
わたしの言葉に困っている姿が、嬉しかった。
たちの悪い変態みたいだ。
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作者名:は | 作成日時:2020年3月7日 0時