顔出し厳禁な歌い手さんは女装が趣味らしい【歌い手】【男主】

その男、朝 ページ18

　
ｼﾞﾘﾘﾘﾘﾘﾘﾘﾘﾘﾘﾘﾘﾘﾘ

ｶﾞｼｬﾝｯ



『んー…さむっ』



目覚ましの煩い音で起きたのだが、起きようと布団から出ると寒くまた布団に戻る。



…温かい。もうこのまま二度寝しようかと思いうとうとする。



するといきなりﾌﾞｰｯ､ﾌﾞｰｯ､と携帯がなる。



はっと目を覚まし、枕元に置いておいた携帯を手にとって誰からだろうと画面を見るとそこに書いてあったのは「母」という一文字。




一瞬にして体が強ばり、出るのを躊躇うが出ないと後々面倒なのは経験済み。



『あー、あー…んっんん…アァー…』



声を女に調節し、勇気を出して出る。



『も、もしもし…？お母さん？』



“ あ、A？おはよう。良く寝れた？ ”



こちらが可愛い声を出せば向こうも愛しい我が娘と話せて嬉しいのか少し声が上ずっている。


『うん。良く寝れたよ。』


寝起きは最悪だけどな。



朝から必死に母の機嫌を取るために思っていることとは反対の言葉をまるで教科書を読んでいるかの如く答えていく。



“ そういえば、こっちに野菜が送られてきたのよ。ほら、あの佐伯のおじさん。よく可愛がってもらってたわよね〜。覚えてる？ ”



『うん、覚えてるよ』



“ それがさ、あんまりにも量が多いからそっちにおくっておくわね。良かったら食べてね “





俺が適当に返事をすると母は満足そうに電話を切った。




…さぁ、今日は何をしようか？

ーーー

一部修正しました。ご指摘ありがとうございます。

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