【ヒプマイ】麻天狼に救われた女の子のお話。 (ページ36)

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白い部屋の中でページ36

ツキカ視点

ツキカ『…あれ…？』

いつの間にか、いたのは別の部屋。

…部屋というか、空間…に近いのかな…。

白い、奥行きのない空間。

…なんだ、ここ…？

それになぜか、体が重い…

辺りを見渡していると、聞き慣れた声。

「…ねえ、ツキカちゃん。そろそろ…、起きてくれないかな…」

ツキカ『…っ⁉』

「僕も、独歩くんも、先生も…、皆、待っているよ…」

後ろを振り向くと、一二三と独歩の姿。

一二三はスーツを着ている。

ツキカ『⁉あなたたちは…』

2人で微笑みながら立っている。

独歩「帰ろう、元の生活に」

一二三「…ツキカちゃん、君はどこかでここから抜け出したくないと思っているんじゃないのかな？」

ツキカ『…え？』

困惑していると、一二三が指を指して言った。

一二三「君の足元にいるそれは、ツキカちゃんの帰りたくない気持ちが具現化されたものなんじゃない？」

ツキカ『…ひっ⁉』

私の足元をぎゅっとつかんで離さない、真っ黒な影。

小さな子供のような影だった。

体が重かったのは、これのせいか。

「ココからデたくないんデショウ？
タノシカッタあのコロから、もどリたくナイんデショウ？
だからツクッタ。コノせかいヲ。
ちがウの？」

影が私に呼びかけてくる。

ツキカ『ち、違う…』

「ちがわナイ。
サァ、さっきの場所に、モドろうヨ」

影が私を呑み込んでくる。

ツキカ『…ねえ、聞いて！』

呑み込まれながらも影に言った。

ツキカ『確かにそうだよ。私は楽しかったあの頃に、皆仲よかったあの頃に戻りたかった！
だから作ったの！この夢の世界を…！』

「ジャあ…」

ツキカ『でももういいの！
どう足掻いても、あの頃には戻れない。
…それに、麻天狼の皆に拾われて、あの人と…、先生と出会えた。
今の生活も、楽しいよ』

影の侵食が止まった。

独歩「今だ、ツキカちゃん！」

一二三「僕たちの手を取って！」

ツキカ『う、うん！』

私は一二三と独歩の手をとる。

そして、影に向かって言った。

ツキカ『心配しなくても、大丈夫。
先生たちと一緒に、前のように楽しく暮らすから』

影は暫くの間黙った後、ふわりと微笑んだ。

辺りを眩い光が覆い、私は目を閉じた。

＊更新遅くなってしまいすみません…。