・ ページ3
「門限破ったらね、次の日お尻がひりひりするくらいたくさん叩かれるって…」
「そっか…それはなんていうか…大変だねぇ?」
「…僕も同じことしたよ?パパはおしおきしないの…?」
裕翔からの問いかけに、慧は唸った。
子育ては正解があるわけではない。子供のしつけは人それぞれで、各家庭によって違って当然だと思う。
慧の場合、悪いことをしたら先ほどのようにお説教をするのが基本だ。裕翔があまり悪さをするタイプではないので、それで事足りてしまう。
あまりに聞き分けがない時は廊下に締め出したりすることはあれど、基本的に怒るのも苦手なので、言い聞かせてわかってもらう。
単純に一人息子が可愛すぎて痛い思いをさせたくないというのもあるが…裕翔もそれでわかってくれるのだからお仕置きはしない。それが慧のスタンスだ。
「うーん…。だって、ゆうと、もう悪いことしたってわかってるでしょ?さっきのお説教で十分わかってる。それならお仕置きはいらないってパパは思うから」
「…っ、…パパは僕のこと、大事じゃないの…?」
「そんなわけない!!そんなわけないでしょ?裕翔のこと大事だよ、だから今日だってほんっとに心配したんだから!」
裕翔のことは何より大事に思っている。これは慧にとって揺るがないことだ。
光だって同じだと思う。大貴のことが大事で、可愛くて…だからこそ、光はあえてお尻を叩いて厳しく叱るのだ。
ヤンチャで考える前に行動してしまう大貴に合わせた叱り方だというだけで、息子を思う気持ちは基本的に変わらないはずだ。
しかし、裕翔には少し難しい話かもしれない。
どうやって伝えようかと慧が考えている間に、裕翔はまた俯いてしまった。
「大ちゃんねっ…パパは怒るとこわいけど、大事にされてる証拠なんだよって…」
ついに泣き出してしまった裕翔を見て、きっと、裕翔は不安なのだとわかった。
厳しく叱られる友達を知って、自分の家とは違うことを知って…悪いことをしてもお仕置きさえされないことで、本当に大切にされているのか不安になっている。
自分の家とは真逆なお隣と比べてしまっているから余計にギャップがあって戸惑ったのだろう。
叱らない子育てをしようとずっと心がけてきたが、まさかそれが裏目に出るとは。
88人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちとま - みつあめさん» もう何周も読まさせて頂いています!これからも過去の作品たちを読み返しながらゆっくり待っていますね(*ˊ▿ˋ*) (2022年11月27日 13時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» う、嬉しすぎます😭❤︎ありがとうございます!これからも面白いと思ってもらえる作品を残せるように頑張ります✨ (2022年11月22日 23時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - みつあめさん» 書き方って、中々納得いくものに出会えないですよね!別の方のこのジャンルのお話を読んでも何処か物足りなさを感じて、結局みつあめ様の作品を読み返しているんですよね😂それ程に面白いと思っています!ご多忙だとは思いますが、いつまでも次の更新を待っています! (2022年11月22日 2時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
みつあめ(プロフ) - いちとまさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます✨作品を作る上で書き方は日々迷走して苦しんでいる部分でもあるので、褒めていただけてとても嬉しいです!これからもマイペースな更新になるかと思いますが、よろしくお願いします🙇♀️ (2022年11月20日 21時) (レス) id: 19e769908e (このIDを非表示/違反報告)
いちとま - 久しぶりにコメ失礼致します!僕はこのジャンルを取り扱われている方の作者様の中でもみつあめ様の書き方が1番好みなんですよね!なので、サイトの方も此方も更新すごく楽しみにしています!みつあめ様のペースで頑張って下さい(^-^) (2022年11月19日 21時) (レス) id: 183d13b82a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みつあめ | 作成日時:2022年8月3日 0時