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真冬に背を向け、駆け出した。
縁側から庭へ出て、裏口を潜り戦が繰り広げる表門とは真反対の緑広がる草原を裸足のまま走りぬける。
「真冬…!!」
「僕が食止めるからAは逃げるんだ!!」
どこへ行けばいいかなんてわからない。
とにかく我武者羅に走り続けることしか出来なかった。
後ろを振り向いても、真冬の姿はない。
さっきの男には見覚えがあった。父の家来だ。
吉原に父が訪ねてきた際、後ろについていた彼奴。
どれくらい走ったか分からない。
普段培われることのなかった体力のせいで、すぐに息が切れた。
「……どこなの、」
草原にペタンと座り込む。
辺りを見渡しても何も無い。日が傾き始めている。
生憎城の中と吉原遊廓内でしか生活したことのないため、少し先に畑の中にいくつかある民家に助けを求めようともう限界寸前の足を動かす。
うらたさんや志麻さん、坂田さん、センラさん。そして真冬のことが頭をよぎるけど、今は今夜をどうにか生きることでいっぱいいっぱい。
……優しい人でありますように。
そう心の中で願って、扉を手の甲で2、3回叩いた。
.
.
その晩は、雨だった。
あの日みたいに。
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透(プロフ) - 牡丹一華。@坂田家さん» はじめまして。ありがとうございます…!そのお言葉が一番の褒め言葉です( ; ; )ご期待に添えるよう執筆頑張りますね◎ぜひこれからも読んでくださると嬉しいです!よろしくお願い致します (2020年1月11日 8時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
牡丹一華。@坂田家 - 夜分遅くに失礼します。作品を読ませていただきました。この作品のページが進めば進むほどのめり込みました。続編も読ませていただきますね。 (2020年1月11日 4時) (レス) id: ca03128f9d (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 舶(ハク)@月ノ山天文部さん» ありがとうございます!!書き方いろいろ工夫しながら書いてるので褒めてもらえてめちゃくちゃ嬉しいです(///)更新頑張りますね!これからもよろしくお願い致します!! (2019年5月16日 23時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
舶(ハク)@月ノ山天文部(プロフ) - 誤字すみません……すごきではなくすごくです…… (2019年5月15日 1時) (レス) id: 7017cc79b6 (このIDを非表示/違反報告)
舶(ハク)@月ノ山天文部(プロフ) - お話すごく好きです!うらたさんかっこいい……更新楽しみに待っています、頑張ってください!あと書き方すごき上手くてとても読みやすいです(*´ω`*) (2019年5月15日 1時) (レス) id: 7017cc79b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:透 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2019年4月27日 0時