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ページ30

お腹いっぱいになって眠ってしまった坂田を横目に、俺はうらたんに一つ質問をぶつけた。

まーしぃは使用人に酒を頼みながら「なになに?そんな真剣なトーンで」と興味深そうに聞いてくる。



「Aの苗字って何?」


「あ、それ俺も気になってた」



うらたんは、少しの間を挟んで小さな声で「…栗花落」と呟いた。まーしぃは目を見開いて驚く様子を見せるが、だいたい検討のついていた俺はあまり驚かなかった。


世間一般のことにあまり興味を示さないうらたんが数ヶ月前、香流と聞いた時に香流の将軍家が「栗花落」だということを知っていたのがずっと気になっていたからだ。




「それって、」


「そうだ。俺らの敵はAの父親だ」




そして曖昧に濁されていた彼女が杵築(ここ)に逃げ込むことになった理由が明かされた。

その壮絶な人生に驚くよりも、うらたんだけが知っていたことが多いことを悔やむ自分がいた。


あまりクールなその表情を崩すことが少ないリーダーが見せた切ないその顔から彼女に対する特別な感情が伺わせるようだった。





「Aは知ってるん?」



「わからない。けれどどっちにしろAの父親がAを探してもうこっちへ近づいてきている。」



「時間の問題ってわけか」




既にAの似顔絵は全国に撒き散らされている。

吉原の花魁な上に全国を統一するほどの力を持つ國、香流の姫。



「俺らはとんでもない姫サンを拾ってしまったわけやな」



「まぁ、どっとにしろいつかは倒さなあかん國やし」と言いつつまーしぃはあっという間に少なくなった残りの酒を一気に流し込む。



「俺は、助けたい。あいつを」


「手伝うに決まってるやん。俺にもかっこいいとこアピらせてや」


「俺もついていきますよ、リーダー」




そう言いつつほんの少しの嫉妬心をジリジリと燃やしている自分が憎い。

あぁ、そうか。







.







.









どうやら俺は、敵国の姫に恋をしてしまったらしい。







.

(柒)嚆矢濫觴→←*



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設定タグ:浦島坂田船 , 歌い手 , 曲パロ   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - 牡丹一華。@坂田家さん» はじめまして。ありがとうございます…!そのお言葉が一番の褒め言葉です( ; ; )ご期待に添えるよう執筆頑張りますね◎ぜひこれからも読んでくださると嬉しいです!よろしくお願い致します (2020年1月11日 8時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
牡丹一華。@坂田家 - 夜分遅くに失礼します。作品を読ませていただきました。この作品のページが進めば進むほどのめり込みました。続編も読ませていただきますね。 (2020年1月11日 4時) (レス) id: ca03128f9d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 舶(ハク)@月ノ山天文部さん» ありがとうございます!!書き方いろいろ工夫しながら書いてるので褒めてもらえてめちゃくちゃ嬉しいです(///)更新頑張りますね!これからもよろしくお願い致します!! (2019年5月16日 23時) (レス) id: b3a866b10f (このIDを非表示/違反報告)
舶(ハク)@月ノ山天文部(プロフ) - 誤字すみません……すごきではなくすごくです…… (2019年5月15日 1時) (レス) id: 7017cc79b6 (このIDを非表示/違反報告)
舶(ハク)@月ノ山天文部(プロフ) - お話すごく好きです!うらたさんかっこいい……更新楽しみに待っています、頑張ってください!あと書き方すごき上手くてとても読みやすいです(*´ω`*) (2019年5月15日 1時) (レス) id: 7017cc79b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/  
作成日時:2019年4月27日 0時

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