イルカ先生はやっぱり先生 ページ4
「あ、そうだ。イルカにぃ」
「ん、どうした?A」
「あのさ、影分身の術教えて?」
「影分身?」
今のうちに術を覚えておきたい…っていうのと、影分身は後使うからね。早めに覚えておきたい。
「うん、早く覚えて早く強くなって、イルカにぃを守りたいんだ」
「A…」
「大事な兄さんを絶対に守りたいの、私」
前に話した転生補正でチート気味、という話。特別な力を持っているわけではないが、頭脳と身体能力的な意味合いで。本を読んだらその内容は一切忘れない、その中に忍術系があると感覚で覚えてしまう。身体能力は、イルカ先生とちゃんばら感覚でクナイとか無しの体術で戦っていたら数回勝ってしまったこと。イルカ先生の、目を丸くして驚いた表情を浮かべていたのを見る限りそこまで手を抜いたわけでもないし負けるとは思っていなかったんだろう。つまり、中忍の本気じゃないとはいえ勝つと確信していた人に勝ってしまったわけで。
イルカ先生を見ると、顎に手を当て俯きながら表情を強張らせている。きっと、私は上忍になれると思っているし今から修行を付けることに反対はないのだろう。ただ…
「…心配?」
「そりゃ…な」
イルカ先生がへらりと笑みを浮かべる。その表情にぎゅっと心臓が苦しくなった。でも、戦忍になることは決めている。これは、もしイルカ先生に反対されても押し切ってなるつもりだ。私だって心配なんだよ!!!本当に!!!イルカ先生が任務に向かうたびに心配なんだよ!!!
「…忍びになる以外の道は、私の中には無い」
「…わかってる」
「ならさ、今のうちに色々覚えておいた方が生存率は上がると思うんだ」
「…」
イルカ先生は暫く黙りこむと、急に顔を上げ私の肩に手を置いた。もう、ほんと、がっ!!!って感じ。勢いが怖い。
「やるからには徹底的にやるからな」
「うん」
「俺は甘くないぞ」
「うん!!」
まだ辛そうな表情を浮かべているイルカ先生の頭を撫でると、くしゃりと顔を顰めて私を強く抱き締めた。私まだ5歳だもんね、そんな小さいのに任務の話なんてしてほしくなかったよね。ごめんイルカ先生お願いだから泣き止んで私まで泣いちゃう。
その後イルカ先生が泣きやんでから影分身の術を教えてもらった。
そしてその日のうちに覚えた。イルカ先生の「凄い」「誇らしい」「えらい」と嬉しそうにしてる中に、どことなく複雑そうな表情を浮かべているのを私は見逃さなかった。
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ユイカ(プロフ) - 面白くて大好きです!続きが気になったので気分が乗ったらでいいので更新してください!楽しみに待ってます! (2020年6月8日 21時) (レス) id: b470749ec2 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが気になります。よろしくお願いします。 (2019年12月19日 1時) (レス) id: 75ebda0380 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新待ってます!頑張ってください! (2019年8月31日 23時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
死蝶 - イルカ先生大好き!更新頑張ってください! (2019年7月23日 13時) (レス) id: 3d51fd0542 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ - イルカ先生推しですか?!私もです←面白いです!更新頑張ってください! (2019年6月30日 12時) (レス) id: 698e01f38a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rio | 作成日時:2019年5月24日 3時