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「すまない神崎、遅くなった。それと……」
少し緊張気味といった様子の星見Aと目が合う。
それにしても、颯馬には星見のプロデューサーのことは言っていなかったはずだが。
颯馬と司は同室だったはずだからそこで知ったのかもしれない。
「はじめましてだな、星見のプロデューサー。もう神崎と親しくなったようで何よりだ」
「え?」
『えっと、あ、はい!』
ぷろでゅーさぁ、とは我らが転校生が該当するあれか。
うん?今先輩はそう言ったのか?
「ぷ、ぷろでゅーさぁ?!貴殿が?!不審者ではなく?!」
「不審者だと思ってたならそもそも会話するな。というか名乗ってなかったのか」
『潔白の私が不審者だと思われていたことに対してはノーコメントなんですか??』
奇人変人、歩く暴風域、草花だけいいかんじに避けて通っていくタイプの竜巻だとか諸々名誉でもなんでもない異名を多く持つAだが、どストレートなのは流石にちょっと傷ついた。
対して、敬人はあの颯馬が初め警戒していたであろうにも関わらず、あそこまで打ち解けていたことに驚いていた。
恐らくだがこの星見のプロデューサーは紫之創に劣らぬほどに相手の警戒心を突破することに長けているのだろう。
それはその無垢さ故か優れた容姿故か何なのかは知らないが、それは交渉においてかなり使える武器になるだろうと期待する。
『西の方の育ちだから日本のものが珍しくて、つい……あ、改めて自己紹介した方がいいですか?』
「いや、そろそろ鬼龍もUNDEADやRa*bitsの面々も集まるはずだからな。そこでしてくれ」
UNDEADにRa*bits……確かTrickstarの皆に教えてもらったことがある名前だ。特にRa*bits。
英智と父と12世以外のものに興味関心がほとんどなく、それら以外に関する記憶力が死んでることに定評があったAだが、最近は覚えられることが増えてきた気がする。
『(うん!この調子ならこの事務所でも何とかなる気が、)』
そう思いかけ、少し前にも自分は同じことを考えていたことを思い出す。
そして、その翌日に頭上に降った冷たい言葉と企画書のことも。
記憶が今までより持続するようになって、忘れたくないことを忘れずにいられることが増えた。
が、その分蟠りも増えるようになった。
普通の人なら幼い頃にごく当たり前に経験し乗り越えるそれを、Aはまだ乗り越えられずにいた。
『(でも私は成長できたはず。そうだよね、お父さん……)』
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紅鮭@くじら(プロフ) - 甘風さん» 星見のキャラを気に入っていただけてすっごく嬉しいです〜!ありがとうございます(..›ᴗ‹..) 更新がんばります!! (2022年12月9日 16時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭@くじら(プロフ) - みるタピさん» コメントありがとうございます!そろそろ更新速度戻す予定なのでこれからもよろしくお願いします!(⑉• •⑉) (2022年12月9日 16時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
甘風 - とっても面白くて好きです!更新頑張ってください!星見ちゃんのキャラが良い...! (2022年12月5日 23時) (レス) @page33 id: e3065dc72d (このIDを非表示/違反報告)
みるタピ(プロフ) - とても楽しんで読ませていただいています!テスト大変だと思いますが頑張ってください! (2022年12月5日 18時) (レス) @page33 id: c5e7b71543 (このIDを非表示/違反報告)
紅鮭@くじら(プロフ) - 立花さん» 立花さん、コメントありがとうございます!!正直ギャグには全然自信がないのでそう言っていただけて嬉しいです!笑 更新がんばりますね〜!! (2022年9月30日 21時) (レス) id: f1236c4d6f (このIDを非表示/違反報告)
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