［完］黒死牟邸に居候してます (ページ28)

今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:145,130 hit

受け入れる側 ① ページ28

＊＊＊

まだ、「べん！」以外で呼び出されていたころの話だ。
今となってはあれが楽チン便利すぎて、過去にどうやって血液の配給を受けていたのか、正直よく覚えていない。
使いの鬼が持ってくることもあったが、使いの鬼はたいてい食欲バカなので、私の手元に来る前に飲まれてしまうこともままあった。

とにかく、私は血液の配給を受けてるんるん帰宅し、黒死牟さんの居室にバーンと入室したのだ。

『ただいま！！！』

黒死牟さんはいつものように無視するが、私は機嫌が良いのでそのまま黒死牟さんの背中にだらんとひっつく。

『いいことがあったんですよ～。聞きます？』

「……。」

『ジャーン、見てください！
折り紙をもらいました。しかもちよ紙です。
あとでやろーっと。』

私は黒死牟さんの背中におぶさったまま、懐から出したちよ紙を黒死牟さんの顔の前に出して見せた。
特になんの反応もしないで、私を背中に乗せたまま黒死牟さんは立ち上がる。

『おっと、』

その拍子に、ちよ紙がはらはらと数枚落ちてしまう。
歩き始めた黒死牟さんは、まさか、その紙を踏んで、するっと滑った。ウソだろ？上弦の壱が、折り紙踏んで滑って転ぶなんて上弦解体レベルの黒歴史になるよ？それはやばいよ？

ーーーダン！

残念ながら黒歴史はおこってしまった。

『痛ーい！！！』

私は黒死牟さんがすっ転んだ勢いで思い切り、黒死牟さんの後頭部におでこをぶつけた。

『……ん？』

そして気づく、『なにこの声。』自分の声が、黒死牟さんの声であることに。

そして目の前で間抜けな顔でこちらを見ているのが、かなり長いこと見ていない自分の顔であることに。
まあまあかわいいな。

『私たち、入れ替わってるーーー！？』
「……。」

『そこは言えよって。さすがにさぁ。』