【ツイステ】オーバーキル (ページ27)

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第２６話ページ27

Aの退学まで、猶予の残りは1日

「ジェイドのユニーク魔法で無理矢理Aの部屋に入って話せばよくない？」

「僕のユニーク魔法がAにきくわけありません」

ジェイドの返答にフロイドは「はぁ～」と大きくため息を吐いて、背もたれに体重を預けた。天井を見上げて学園長が言ったことが頭に過った。

「被害者である彼らに近付くことは許しません。彼らにとって身内である君達も恐れるでしょう。3日後の夕方までに、A君を潔白を証明出来なれば、彼はこの学園から去ってもらいます」

「ジェイドのユニーク魔法を他の誰が持ってたら、被害者？に聞き出せんのに」

「そうですね。僕と似た魔法を持っている方がいれば…」

「ちょっと待ってください。となるとジェイドのユニーク魔法を一時期、誰かに貸せばいい話じゃないですか！学園長は誰かを使って近付くことを許さないとは言っていない…」

そこで３人はハッとした。何故そんなことに今まで気付かなかったのか。学園長は身内である僕らは近付くことをダメと言ったが、それ以外の人物に被害者に近付くよう要求しても学園長の言い分には当てはまらないはすだ。

だからといって一つだけ問題がある。今の彼らはAによって、全てが敏感になっているはずだ。他人と関わりたくないはずだ。ジェイドのユニーク魔法を貸す場合、適任者は彼らが油断出来る相手でなければ上手くいかない。この学園内に最も油断出来る人物、そんな都合のいい人物がいるわけ…と彼らは思考を巡らせる。

「身近にいたわ」

「確かいましたね」

「ええ、いましたね」

口元を緩め、彼らの頭に同じ人物を思い浮かべただろう。この学園で知らない人なんて居ない。最も油断が出来る人物でお人好しで見返りなんて求めず正義感を持っている彼女なら、きっとこの交渉も引き受けてくれるだろう

一斉に立ち上がりジャケットを羽織る。お互いに何も言わない。向かう場所は言わずと知れた。

アズールはコンコンとノックをすると向こうからパタパタとこちらに駆け寄る足音が聞こえた。古い寮はキィと軋ませて扉が開いた。アズール達を見ると全てを見透かしたかのように彼女は口を開いた。

「私に出来ることならなんでもしますよ」

本当に馬鹿で哀れな人だとつくづく思う。多少Aに良くされたからと言って、ここまでして彼女は何のためになるのだろうと。そんな彼女だからこそ、今回の事件も解決に導いてくれるだろう。