【ツイステ】オーバーキル (ページ25)

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第２４話ページ25

Aの退学まで、猶予の残り3日

「A、ご飯ここに置いておきますよ」

ジェイドはAの部屋の扉の前に立つ。ノックをしても返事はない。ご飯を乗せたトレーを床に置いて、扉越しからジェイドはAに話しかける。

「アズールが学園長と交渉して、3日ほど猶予を貰いました」

「わざわざなんでそんなことした」

「…っ！」

この扉１枚の向こうにAがいる。すぐ近くにいるはずなのに何故か遠く感じる。Aの冷たい態度と感情のこもっていない声にジェイドはズキリと心臓が痛む。今まで自分達がAにしていたことなんだ。冷たい態度をとって、有無を言わせない圧をかけていたんだ。どれほどAは傷ついたんだろう。どれだけ、自分達がAを傷つけたのかジェイドは心に染みる。

「話してくれませんか…何があったんですか」

「…話すことは何もない。先生が言った通りだ」

Aはそう言うと部屋の奥へ行ってしまった。今更、自分達が歩み寄ろうとしても心を閉ざしてしまったAに何かを言っても彼の耳に届かないだろう。
この場に留まってもどうしようもないジェイドは落ち込みながらVIPルームに向かった。

VIPルームにはアズールとフロイドはソファに腰を下ろして、聞きこみ調査から被害者の情報を全て記録して、隈無く目を通した。今日は時間なく聞き込みが出来たのは、自分達の寮生にしか聞けなかったがろくな情報がなかった。被害者の情報を頭から爪先まで、あらゆる情報を引きずり出したが今までAと関わるような間柄ではなく、何故このような事件が起きたのか全く分からない。

VIPルームの扉の開く音がして、2人はそちらに目を向けるとジェイドが中に入る。アズールとフロイドは、ジェイドの顔を見つめて「どうだった？」と尋ねるが、ジェイドは横に首を振った。アズールとフロイドは肩を落とした。

「取り合ってくれませんでした」

「そうですか…」

「なんで、こーなっちゃったわけ…」

フロイドはソファにもたれかかって天井を見つめる。こんなはずじゃなかった。本当なら今頃は誤解も解けてAと笑いあっていたはずなのに…

虚しくも１日目は何も進展しないまま時間だけが過ぎていく。彼らは寝る間も惜しんで解決の糸口を探す。

今までAにしてきた謝罪だ。これが彼らにとって償いなんだ。