【ツイステ】オーバーキル (ページ24)

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第２３話ページ24

「A・リーチ君！私達が一歩遅れていたら、彼らは手遅れだったかもしれないんですよ！」

学園長室、クロウリーの声が響き渡る。机を隔てて向かい立つ学園長とA

Aの後ろに、バルガスやトレインも立っていた。Aは、俯いて壊れたロボットのようにただ突っ立っていた。

ガチャと音を立て扉が開くとクルーウェルが入ってきた。

「1人目を覚ました奴に話を聞いたが、証言によると何もしてないのに急にボコられたと言っているが、それは本当なのか？A・リーチ」

「はい」

Aの返答にこの場にいる教師は目を丸くする。普段、温厚な彼がこんなことをするなんて、誰も想像がつかないからだ。驚いて声が出せなかった。

学園長は息を吐いてゆっくりと口を開いた。

「A・リーチ君、本日を持って貴方は退学して頂きます。異論はないですか？」

学園長のその言葉に、Aは驚くことなく、機械のように「はい」と返事をした瞬間に、乱暴に扉が開かれた。

「待ってください！」

「退学ってまじなの！？」

「何かの間違いでは？」

アズール、フロイド、ジェイドはズカズカと学園長室に入る。そんな彼らにクルーウェルが注意をするが、彼らの耳にクルーウェルの声は届いてない。目の前にいるAと退学と決断を下した学園長にしか目がいかなかった。

Aからすると、こんな風に取り乱す彼らを見たのは初めてだった。何故、自分が退学でこんなに慌てるのだろうかと、疑問に思っていた。嫌いな奴がいなくなれば、清々するだろうと。

彼らの横を通った時に「嫌いな奴が消えてくれて、嬉しいだろう」と言って、静かにAは学園長室を退室した。

今はAを追うべきじゃない。今彼らがすべきことは、学園長にAの退学を取り下げて貰うことだ。

「Aがそんなことするわけねーじゃん！」

「ええ、そうです。何か理由があったんだと思います」

「無抵抗な生徒を一方的に暴力を振るったと彼は認めていますが…」

Aがこんなをする人ではないことくらい彼らは知っている。どれだけAを傷つけても、彼は何も仕返しなんてしてこない損をする性格なのだから。

「3日、お時間を頂けないでしょうか？彼が理由もなしに、このような事をするはずがありません」

「…分かりました。3日後の夕方までにこちらにいらして下さい」

アズールの交渉に応じる学園長の言葉に、ほんの少しだけの救いに3人は安堵をした。