【うたプリ】もう一人の作曲家

21.危険な喧嘩 ページ21

A「あやみちゃんだって、邪魔な人のこと傷つけることでしか周りから好かれないくせに、春ちゃんのこと、悪く言わないでよ！」

あやみ「.........っ！」

代わりにそう言い返すと、わたしの言葉が逆鱗に触れたのか、あやみちゃんが不機嫌そうに目を細めた。
しかし、わたしの背後に視線を向けた瞬間、驚いたように目を見開いて固まってしまった。

あやみ「な、なんで........？」

明らかに様子がおかしいけど、後ろを向く気にもなれず、そのまま正面を向いて春ちゃんを庇う。

あやみ「あの、これは、」

後ろの人物に弁解しようと、あやみちゃんが前に踏み出した衝撃で、そばにあった鉄の棒が崩れてこちらに倒れてくるのを見て、血の気が引いた。

これって、人に当たったらやばいやつでしょ。

真下にいるあやみちゃんは、ドミノ倒しにどんどん崩れていくそれに驚いて固まっている。

今は喧嘩なんてしてる場合じゃない。
瞬時にそう判断してあやみちゃんを安全な方向に突き飛ばした。

あやみ「Aちゃん！」

春歌「危ないっ！」

春ちゃんの声で前を向くと、目の前に鉄パイプが迫っていた。

後ろには逃げなかったらしい春ちゃんもいる。

........どうしよう。絶対避けられない。

A「春ちゃん逃げて！」

わたしよりはまだ逃げる余裕がある春ちゃんにそう叫ぶと、後ろから「嫌です」と聞こえた。

A「いいから早く！」

すると、こちらに来たあやみちゃんが無理やり春ちゃんを引っ張ったのが見えた。

自分に向かって落ちてくるのを避けることができず、ぎゅっと目を瞑ると頭に鈍い痛みを感じた。

あやみ「！」

春歌「Aちゃん！」

額に生温かいものが伝う。

次第に遠くなる意識の中で、ST☆RISHのみんなの声が聞こえた気がした。

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