今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:8,837 hit
小|中|大
6 ページ8
赤司君は微笑んだだけで、隣で傘を開くと少し此方側に傾けて
「入るかい?」
と訊いてきた。
その意外な動作に目を丸くして暫し固まったけれど、首を横に振った。
「大丈夫です。折り畳みのがあるんで」
そう言って通学鞄から予備の折り畳み傘を取り出した私を見て、赤司君は「可愛くないな」と言ってきた。
「そういう時は素直に甘えろ」
「君に言われても説得力がありません」
「なら、お前を家まで送るよ。
そうしたら説得力が湧くだろ?」
「意味がわかりません」
短いやり取りをした後、一拍置いて
「でも、君がどうしてもというならしてやらんこともないです」
顔が仄かに赤くなったので、逸らしながら言った。
なので赤司君の顔は見れなかったけれど、小さく笑い声が聞こえて手を取られた。
「本当素直じゃないな」
そう言った赤司君の後ろ姿に目をやると、耳の後ろが仄かに赤くなっていた。
(そっちの方が素直じゃないんだから)
そう思いつつも温かい左手にはしっかりと力を込めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
27人がお気に入り
27人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ