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第十五話「IH~海常VS桐皇~」 ページ14

IH三回戦。今日の目玉は神奈川代表の海常高校と東京代表の桐皇学園の試合だ。
 海常にはキセキの世代の一人、黄瀬涼太がいるので、今日は青峰君が試合に出そうだ。

「海常と桐皇、どちらかがウチと試合するわけか……」

「コラコラ。まだ決まってませんよ」

 隣で肘をついて茫洋とした眼差しで、アップしている二校を見ている茜の頭を小突き、持って来ていたビデオカメラを手渡した。
 茜がそう思ってしまうのも仕方がないことだ。高校バスケの王者として名高い洛山が、キセキの世代や無冠の五将を持たない高校に負けるはずはない。そして、それは海常、桐皇にもいえることだった。けれど、彼らの始めから諦めた表情、覇気のないプレーを見ていると何故か心が軋むことが多々あってもどかしかった。

「あ、始まる」

 茜が身を乗り出した。興味無さそうな顔をしていても、やっぱり気にはなるのだろう。
そんな茜を横目に、私もメモ帳を構えた。特殊なプレーはビデオを見ただけではわからない。
その時にしか肌に感じることの出来ないものがある。そしてそれを見つけるのが私の仕事だ。
 頭の中のもやもやを振り払い、今始まった試合に全神経を注いだ。



 ブザービートが鳴った。泣き崩れる海常、ほっとした表情の桐皇。試合は桐皇に軍配が上がった。

「桐皇か〜。青峰君をどう対応しようか……」

 ムービーを確認しながら独り言のように茜が呟く。私は視線をコートに固定したままそれに返した。

「……多分、青峰君は次の試合に出ませんよ」

「えぇ!なんで?」

驚いてバッと顔をこちらに向けた茜にあとで答えるから、と言って席を立った。
ぶつぶつ言いながら付いてくる茜の愚痴を聞きながら、心底で冷たい空気が静かに広がっていくのを感じていた。それは、このことを告げた後、赤司君はとるであろう行動への不安と疑心だった。



「青峰君は足を痛めているようでした。後半戦、黄瀬君の猛追に恐れを為したのか、無理な体勢でボールを取りに行ったり、シュートをしに行こうとする場面が多々見られましたから」

 ホテルのミーティングルームにスタメンを集めた後、私は皆の前に立つと開口早々言った。

「そして恐らく、桐皇のマネジャーは気づいています」

頭の片隅に青ざめた顔で青峰君を見ていた女性のことを浮かべながら、続けた。

「どうしますか、赤司君?」

 努めて顔の筋肉を動かさないようにしながら、私は真正面にいる赤司君に問いかけた。

2→←第十四話「IH~開会式~」



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設定タグ:赤司征十郎 , 洛山高校 , 黒バス   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:白仙桃 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2015年4月11日 23時

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