第十四話「IH~開会式~」 ページ13
七月後半、東京でIHが始まった。無事、洛山高校は京都代表として開会式に参加した。
開会式が終わり、私と茜は早速今回一の注目株、東京代表桐皇学園の試合を見に行こうとした。
その時、ホテルに戻ろうとしていた部員の中から赤司君が出てきた。
「北村、すまないがトーナメント表をもう一度見せてもらえないか」
「あ、うん」
僅かに顔を赤らめた茜が鞄から紙を取り出し赤司君に渡す。
赤司君はそれを隅から隅までじっくり眺めた後、どこか失望したような顔で首を振り、トーナメント表を茜に戻した。
「それがどうしたの?」
トーナメント表を鞄に戻しながら茜が尋ねる。
「いや、思ったより見知った顔が少ないと思ってね」
きっと赤司君が言っているのは、今回一番の激戦区となった東京予選のことだろう。
幻の
その激戦区を制したのは、圧倒的な力を持った「
DVDで見ただけでは、彼の奇想天外なバスケスタイルを先読み出来ない。
それは恐らく、
「今から桐皇の試合を見に行くんだな」
「うん」
「大輝は本気なんて出さないだろうが、ほんの少しでもその目で盗んで来い」
赤司君は感情の読めない顔に僅かに笑みを浮かべて、私の肩を叩いて実渕さんらのいる方に行ってしまった。
まだ赤司君の消えた方を見ている茜を無理矢理引っ張るようにして、私は第二会場に向かった。
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