【募集企画】IDOL in Grand Cross【本編～日常編】 (ページ14)

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カフェテリアの雑音？それともサシャがくれた珈琲のせいか、いらいらした気持が冷めていく。

いや―――きっと、彼が、何も言わず隣にいてくれるから。
冷静になって、自分が何をしたいのかを、考えさせてくれる。

珈琲を飲み終えたユイは、カタンと席を立った。

「有難うございます、サシャさん―――ごちそう様でした」
「うん…頑張って？」

午後の講義が終わった夕暮れに、ユイはチャロの家を訪れた。
熱にふらつく身体を起こし、玄関まで出迎えたチャロは目を見開く。まさか、ユイが来るなんて思っていなかったから。
火照ったチャロの首元に、手に持っていたビニール袋を押し付けるユイ。

「―――どうして…っツ！！」

(冷たい―――)

「アイス、買ってきた…。後、アセトアミノフェンとビタミン系の栄養ドリンク。僕がご飯作るとキッチン壊してしまうから……」
「なっ―――どうして、ユイが？！」

熱で、夢を見ているのかと思った…。
チャロはユイに、風邪の事を話していなかったのに。

「あー君さ、僕には言わずに、学部の奴等には体調悪い事話すなんてズルくない？」

預かったUSBメモリーをチャロに押し付けながら、強引に部屋へと押し入る。
勝手知ったるチャロの部屋

「あ、ちょっと待ってユイ―――ケホケホ！！」

一日部屋に閉じこもり、誰とも話さず乾燥した喉に、一気に空気が通過する。
いがいがとした刺激が、咳嗽反射を促した。

「―――……チャロ」

顔を背けて咳が治まるのを待つと、ユイの声に視線を向けた。

はむっ。

有無を言わさず、突然に、チャロの口の中に“何か”を入れられる。
甘酸っぱい…飴玉？

「蜂蜜には鎮咳作用の他にも抗酸化作用や抗菌作用があって、副作用がないから」
「は？何の作用って―――」

口の中で飴玉を転がしていると、先程の様な咳嗽反射が現れない。
きょとんと首をかしげるチャロの手を引き、ベッドに座らせると、ベッドサイドテーブルに水やら解熱剤やらを並べた。