【募集企画】IDOL in Grand Cross【本編～日常編】 (ページ13)

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ヤキモチ/ユイ・クロードページ13

―――悪い、ユイ。今日はお弁当無理。

朝一に届いたメールに、寝ぼけた瞼を擦りながらユイは首を傾げた。
こんな事、初めてだ。

メールの送信相手はチャロ＝アーモライト。
構内のカフェテリアかタブレットばかりを摂取していたユイを見かねて、食事を作りに来てくれるようになったのがきっかけで、今では大学の中でも公認の恋人。

毎日栄養バランスの考えられたお弁当を用意してくれていたのだが、今日はそのお弁当が“無理”だときた。

“僕は大丈夫だよ。チャロ、何かあった？”

布団の中でメールを返す。
すると、即座に返事が届いた…

“何もない”

「何もないわけないだろ……」

携帯電話に向かった一人突っ込みが、朝の静寂に溶け込む。
布団から飛び起きたユイは朝支度を整え、チャロが冷蔵庫に用意してくれていた作り置きのパンケーキを頬張った。

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午前の講義が終わり、チャロの在籍する理学部を訪れると彼の友人からUSBメモリーを渡された。
“チャロ、風邪ひいて今日は休んでる。これ授業のノート取ったヤツだから、渡しといて”

チャロは、自分の弱みを見せたがらない。恋人だと宣言したユイに対しても、なかなか弱音を見せようとしない。ユイにはそれが、腹立たしかった。

(同じ理学部の奴等には風邪だって教えるくせに、どうして僕には言わないんだよ……)

昼はタブレットで済ませてやろうとも思ったが、不意にチャロの顔が横切る。
病み中に心配かけるわけにもいかないと、構内のカフェテリアでサンドウィッチを注文した。

いつもの窓際のカウンターで、ヘッドホンをしながら午前の講義のまとめを打ち込むユイ。
いつの間にか空になったコーヒーカップの隣に、あったか珈琲のお替りがそっと差し出された。

「ユー、何か…怒ってる？」
「―――サシャさん」

いつもは声をかけずに、気づけは隣に座って居る事が多いが、今日は珍しく声をかけて来た。
彼はサシャ＝ベール…同じ大学に通う、理学部の先輩だ。

「怒ってはないです―――機嫌悪いだけで」
「―――……それ、どう違うの？」

あ―…えっと。

(突っ込まれるの、そこ？)

返答に困っていると、サシャは隣の席に座り、珈琲を片手にぼっと窓の外を見つめた。
何を見ているのだろうと、彼の視線の先を追うが、別段面白そうな何かがあるわけではない。

(―――怒ってはない…ただ、チャロがしんどい事、話してくれなかった事が悔しかっただけ)