【3/7】淡く仄かな恋心 後編@さやえんどう ページ2
A先輩は、潤んだ目のまま、ふふ、と笑った。
『もう、…っもう、どうしてくれるのよ。私卒業式でも泣かないように頑張ってたのに、天月くん全部もってっちゃうんだもんなぁ』
「え、えと、ごめんなさい」
『謝んなくていいよ』
先輩は笑う。
幸せそうな笑顔で。
今まで見た先輩のどんな顔より綺麗だと、正直にそう思わざるを得ないような笑顔で。
「…先輩、卒業しても」
『うん』
俺も、ぺたり、と地面に座り込んで。
A先輩と視線を合わせる。
先輩は、俺の手をぎゅっと握った。
「…卒業しても、俺に会ってくれますか。俺の、…彼女になって、くれますか」
そう告げると、かあっと顔が熱くなるのが分かった。
A先輩は、「真っ赤」と言ってまた笑った。
そして。
『…うん。よろしくお願い、します』
やわらかく微笑んで、そう言う初恋の人は、もう片思いではない。
俺の、大好きなひと。
ふわり、桜が舞った。
今年も実った小さな恋心を彩るように、桜が舞った。
*
―――…数年後。
『わー!それ何天月、桜の花びら?』
「そうですよAさん。これ、Aさんが卒業した日家に帰ったら俺の制服についてたやつ」
アルバムなどを整理していたら、後ろからAさんが抱きついてきた。
俺はふっと笑って、持っていたそれを見せる。
彼女は照れ笑いをした。
『やだ、まだ持ってたのそんなの。女の子みたい』
「やめてくださいそうやって言うの…」
ふざけてじゃれるAさんをあしらって、俺はそれを元のアルバムに戻す。
押し花にしておいて正解だった。
すると、彼女が声色を真剣なものに変えて。
『ていうかそろそろさん付けも敬語もやめてくれないかな』
「え…はい、じゃない。うん」
『ほらまた!だって私たち、』
次に告げられた言葉に、今度は俺が照れ笑いをする番だった。
絡み合わせた指には、お揃いのリングが光っていた。
―――…だって私たち、
((結婚するんだから!))
**
〜*あとがき*〜
どうもさやえんどうです。トップバッタードキドキ。
シリアスにしようとも思ったのですが、思いっきりハッピーエンドにしてみました。
たまにはこういうのもいいですね。
代表作はこちら!【歌い手】シェアハウスでの日常。season11
新作はこちら!こっちのほうがおすすめ!【歌い手】意中之人
ありがとうございました!
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相川りい@千里嫁(プロフ) - ああああああ参加できなくてすいません!!いろいろあって!いやもう言い訳通用しませんよね!ごめんなさい!でもみなさんの文章素敵です! (2014年3月25日 16時) (レス) id: 270c8cb67b (このIDを非表示/違反報告)
咲和@甘党加湿器はネ申(プロフ) - お疲れ様でした!昨日卒業式でした(´;ω;`)この小説見て中学でも頑張ろうって思えました!これからも皆さん応援してます! (2014年3月21日 13時) (レス) id: e0458a6b0d (このIDを非表示/違反報告)
ちー。(プロフ) - お疲れ様でした! 本当に楽しかったです!! ありがとうございました! (2014年3月21日 8時) (レス) id: 1a53920cc9 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ姫@蛇足厨(プロフ) - 卒業リレー!?もう、嬉しすぎますヾ(^▽^)ノ私今年卒業するのでとても、嬉しいですヾ(^▽^)ノ (2014年3月10日 16時) (レス) id: 20f7776008 (このIDを非表示/違反報告)
咲和@甘党加湿器はネ申(プロフ) - そそそ卒業リレー!えっとありがとうございます!← 私今年卒業なのでとっても嬉しいです!皆さん応援してます!頑張ってください! (2014年3月7日 18時) (レス) id: e0458a6b0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:graduation x他9人 | 作者ホームページ:ありません
作成日時:2014年2月25日 16時