【歌い手】意中之人

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意中之人 ((いちゅうのひと))

思いを寄せる相手。心に思い定めた人のこと。
特に、恋しく思っている異性、恋人についていう。

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意中の人、射止められない人、射止められた人、射止めたい人、射止めようが無い人。

思いを寄せる人、思いを寄せられる人、思いを寄せられたい人、思いを寄せてはいけない人。

その気持ちは恋ですか、愛ですか、執着ですか。

さやえんどうです。
はじめましての方ははじめまして、既にご存知の方はいつもありがとうございます。

久しぶりの日替わりを出したいと思います。テーマは片思い。
色々な片思いの形ってありますよね。

申し訳ないですが消化できる見込みが無いのでこちらでのリクはお受けいたしません。
【歌い手短編集】Dear you!!こちらのほうにリクをいただければ書かせて頂きますので、もしリクありましたらこちらに。

＊歌い手様＊

りぶ
天月
伊東歌詞太郎
そらる
まふまふ
アンダーバー

6種類の結果パターン

想い想われ、日に日に変わる恋模様 - 2024年5月3日

Today*伊東歌詞太郎

『あ、おはようございますー』
「おっ、おはようございます！」

仕事でマンションを出る朝、マンションの出口で彼女に会う。
きらきらした笑顔の女子学生。

名前は、YOUちゃん。

社会人が学生に一目惚れなんておかしな話だし、絶対に自分がそんなことになるとは思ってなかったのだけれど、実際惚れてしまったのだから仕方が無い。

でもきっと、彼女は俺の名前も知らない。

『今日雨降るんですかねー』
「降水確率60％でしたね」
『微妙だなぁ…もっかい部屋戻るのもめんどくさいし、今日は降らないことを祈ります』

苦笑する彼女。
気がついたら、折り畳み傘を差し出していた。

「これよかったら使ってください」
『え？…でも、ほんとに降るか分かんないし、何より申し訳ないですよ』
「いいんですいいんです！僕、会社に置き傘あるんで！もっかいエレベーター乗って部屋戻るのめんどくさいですもんね！」

返そうとする彼女の手に折り畳み傘を持たせる。
まくし立てる俺がおかしかったのか、彼女はぷっと吹き出して。

『ありがとうございます、じゃあお借りしますね』
「…！はい」

彼女は大事そうに折り畳み傘を抱えた。

――…あ、可愛いな、なんて。
そんなことを、いくつも歳が下の女の子に思うのはやっぱりまずいのだろうか。

彼女からしたらこんな社会人に惚れられてるなんて知ったら、きっと気持ち悪いんだろうし。

すると、YOUちゃんが言った。

『っ、あ、あの』
「なんですか？」

珍しく、彼女がどもった。
どうしたんだろう。

すると、彼女は視線を床に落として、おずおずと言う。

『その、…今日雨が降ったら、傘、乾かしてから土曜日に返し、ます』

不自然な言葉と、途中何度も言うのを憚られたように止まった口。
俺は内心首を傾げつつ、「はい」と頷いた。

すると、彼女はぱっと顔をあげて必死な声色で言う。

『だから、その、っ…もしよかったらなんですけど、連絡先教えてもらえませんか、

歌詞さん』

呼ばれた名前に、呼吸器官が動きを止めたような錯覚を覚えた。

――…名前が、覚えられているのなら。
もう一歩進むのも、今しかない？

「っ…あ、あの！」
『…はい？』

彼女が身じろぎすると、ふわり、制服のスカートがひらめいた。

ありったけの勇気を出して。

「連絡先教えるので、…もしよかったら、土曜日お茶でもしませんか？」

((射止められない人))

雨が降りますようにと切に願ったのは生まれて初めてだ。