【黒死牟】この恋は心が保たない。弐

其の少年＊参 ページ15

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「その上弦の壱について、これ以上は聞きません。情報のご提供感謝します。
貴方のその罪の意識、少しでもどうにかなる様に、その研究をしてる方を紹介します。」


「ううん、待って、竃門君。私は、黒死牟さんに人間に戻って欲しいとは思ってないんです。
彼の気持ちもさっぱり分からない。

彼が鬼じゃなきゃ、私たち出会いすらしていませんし。たとえ彼が人間に戻ったとしても、私の罪は変わりません。」


黒死牟さんが人間だったなら、どんなに救われるだろうか。

でも、彼は私に鬼となることを強要してこなかったし、と言うか、なれとも言われなかった。
それに私は鬼にはなりたくない。これは譲れない。

だからと言ってはなんだが、私が勝手に黒死牟さんを人間に、何て甚だおかしい。


竃門君は本当に鼻が良いらしい。少しスンと鼻を鳴らすと、引き下がる様にして笑顔を向けてくれた。


「分かりました。
紹介はやめておきます。」

「ワガママ言って御免なさい。」

「いえ！良いんですよ。人の事情はそれぞれです。」

彼は本当にいい子だ。お陰で救われる。


「そうだ、竃門君、私が黒死牟さんの情報を提供したからと言って、私は彼を売ったつもりありませんから。」

「え?」

「彼は、最強なんでしょう？」


複雑そうにしながら笑うAの顔は、酷く儚くて美しかった。
炭治郎は一人胸を痛めた。


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