L O V E . ＃ 2

Step up 4. ページ29

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いやいや、おかしいやろ
自分も、さっき着いたばっかりやん…


しかも時間も指定していない
あんなLINEを送りつけたのは
紛れもない、俺自身。


怒る資格なんか無いのは分かっていながらも
ついつい言ってしまった事に
ハッとして顔を歪めて黙れば、



｢ごめんね、｣


｢仕事長引いちゃって…｣



と、珍しく何の嫌味もなく返された。
申し訳なさそうに小さくなった彼女を見つめて
少しだけ罪悪感を感じた俺は
髪をぐしゃぐしゃに掻き乱して、



｢いや、俺も、時間とかはっきり言わんかったし｣


｢何か、ごめんな…｣
(そんな素直になられたら調子狂うわ)



ようやくきちんと言えた台詞に
ホッと息を吐きながら
彼女の様子を伺った。


すると彼女はふっ、と表情を和らげて
優しい目で笑ったんだ。



｢何か、お互いに素直だと｣


｢逆に違和感ありすぎて気持ち悪くない？｣



なんて言いながらおどけてみせたその表情に
俺は胸をぎゅっと鷲掴みにされたような
そんな気分で、、


何かやけに照れ臭かった。
けれど確かに彼女が言う通り
こんな刺の無い会話は違和感たっぷりだと、
つられて笑った。



｢確かに…｣


｢あははっ！｣
(今までとは大違いやな)



あれから俺達はコンビニで立ち話も
何だか人目もあるし落ち着かないから、と
店を出て近くの公園に場所を移した。


街灯の明かりを頼りに
辿り着いた公園のブランコに
二人ぎこちなく並んで座れば
彼女はすぐにコンビニの袋をがさがさと漁って
何かを取り出した。



｢はい、これ｣


｢え、それ…｣
(俺の分やったんや)



目の前に差し出されたのは、缶コーヒー。
さっきコンビニを出る間際に



｢ちょっと待ってて！｣



と、慌てて店の中に引き返した彼女に
どうせ、またビールやろ？
なんて呆れ気味に思っていたのに…


まさか、俺の為やったとは予想外すぎて
なかなか受け取れず戸惑う俺に対して…



｢いらなかった？｣



なんて、きょとんとした表情で
首を傾げた彼女が
あまりにも今日は可愛く見えて、
俺は慌てて彼女から顔を背けて言った。



｢いや、そうじゃなくて…｣
(やっぱりこういうのは年上って感じするわ)



あかん、俺めっちゃ緊張してる。
久しぶりに会った彼女の相変わらず飾らない姿


さばさばした性格でいながらも、
小さな気遣いを忘れない辺りに
年上らしい一面を垣間見る。




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