L O V E . ＃ 2

Step up 3. ページ28

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｢うわ、最悪や…｣
(ああ、もう…)



思わず、スマホ片手に表情を歪めて
嘆いてしまった。


ガシガシと、頭を掻きながら
しばらく立ち尽くしたまま
どうするべきか考えてみた。


浮かれすぎて、というか必死になりすぎて
肝心なところで詰めの甘い自分に
呆れてしまう。


だけど、今更時間をわざわざ送り直すのも
何だか俺が無性に彼女に会いたくて
仕方無いように見えるんじゃないかと思うと
小さなプライドが邪魔をしてくる。



｢何やってんねやろ、俺｣
(こんなに余裕が無いのは初めてやわ)



誰に宛てた訳でもない独り言を呟いて、
辺りを一通り見渡してみたものの、
まだ彼女が来ている気配は無かった。


そういや、
前会った時はガン無視されたな


そんな事を脳裏に浮かべながら
ただぼけっとコンビニの前で突っ立っている。


そんな俺に、コンビニの客は少し怪訝な表情を
浮かべながらちらちらと視線を送って
買い物を終えて立ち去っていく。



｢……………。｣
(まぁ、とりあえず入るか)



こうしてコンビニの前で突っ立っていて
ファンの子にもし見付かれば
騒ぎにもなりかねない。


だから、渋々コンビニに入って
何時来るのか分からない彼女を待つ事にした。


なるべく目立たないよう雑誌コーナーに向かい
雑誌を読む振りをしながら
彼女が来ていないか外に視線を移すものの、
さすがにもう外は暗くてそれは不可能だった。



｢…………っ、｣
(やっぱり連絡するべきか、これ)



ちっとも内容など頭に入ってこない雑誌に
目をやりながら、そんな事を考える。


もし彼女の仕事が残業なら
一体いつまで待ち呆けになるかも分からない。


そう考えると、
俺は今かなり無謀な事をしているようで
気が重くなって無意識に表情は険しくなった。



｢…………。｣
(とりあえず、一回だけ電話するか)



ぱたん、と雑誌を閉じて棚に戻すと
スマホを手に取り彼女の連絡先を表示させる


そして、決死の思いで
通話ボタンに手をかけた
その時だった…



｢あ、本当に居た｣


｢……おわ！｣
(びっくりした)



何の前触れもなく、突然、肩を叩かれて
びくっ！と体がはねた瞬間
聞こえた声に、振り返れば
のほほんとした表情で安心したように笑う
彼女が居た。


あまりにも突然すぎて混乱する脳内で、
とっさに俺が言った台詞は、



｢いや、来んの遅すぎやろ｣



と、何とも自分勝手な一言だった。
そんな事を言ったら
また嫌みの一つでも言われるに違いないのに
口が勝手にそう動いてしまった。




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