L O V E . ＃ 2

Step up 5. ページ30

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そんな些細な行動一つで、
彼女と会えなかった間に膨らんだ気持ちが
一気に爆発してしまいそうで…


ドキドキする心を必死に抑えて
平静を装いながら気を取り直して
再び視線を向けてみる。



｢…え、なに？｣


｢いや、別に…｣
(ヤバいな、何話そう)



俺の挙動があまりに不審すぎて、
彼女の表情は次第に曇っていくのが分かった。
多分、俺から誘ったくせに



一体、何がしたいの？



と、でも言いたいに違いない。


少し目を細めてじーっと俺を見つめた彼女は
怪訝な表情を浮かべたまま首を傾げて
黙り込むと、しばらくして
ゆっくりと息を吐いた彼女は俺にこう言った。



｢ねぇ…｣


｢……なに？｣


｢どうせ、”今日はビールじゃないんや”｣


｢とか、思ってたんでしょ…？｣


｢………あ゛｣
(確かに)



ぼやくようにそう言って口を尖らせながら
目を細めた彼女はじろり、と疑いの眼差しを
俺に向けた。


図星すぎて思わず、
げっ！と目を見開いて驚いた俺を見て
彼女は大きく溜め息を吐くと
髪をぐしゃぐしゃに掻き乱した。
そして、



｢はいはい、どうせ色気も無いし…｣


｢彼氏も居ないしね…！｣



まるで独り言のようにそう言って
ムスッとした表情を浮かべた彼女の態度に
呆気に取られた俺は瞬きを増やして、
ただそんな彼女を見つめて黙った。


だけど、だんだん
彼女のその不機嫌な表情が可笑しくなって…



｢……っ、あはは！｣
(やっぱりこの感じが心地ええわ)



込み上げてきた笑いに耐えきれず
笑いだした俺を見て、
彼女の機嫌はますます悪くなるかと思えば、



｢笑わないでよ、もう…！｣



と、真っ赤な顔で叫ぶ彼女が
可愛くて堪らなかった。


最初に比べれば、
かなり距離が近付いているのは
手に取るように分かる。


きっと、以前の俺達なら
今頃かなりの険悪ムードになっていても
可笑しくない状況でも
今では、笑って流せる程度にまで落ち着いた…


別にかしこまる必要も、
変に緊張する必要も無かったかもしれない。


そもそも彼女は俺の本性を知ってるのに、
今更、格好つけたって意味が無い。


いや、きっとそれこそ
また俺は勘違い男だと思われるに違いない。


だったら、俺はいつも通りに素のままの俺で
彼女に接していけばいいのかもしれないと
気付いて少し肩の力が抜けた気分だった。



｢……………。｣
(ナナは、他の女の子とは違う)






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