唐突に、 ページ1
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「……晋助、私と別れて」
「………あ？」
……唐突に、予告も何もなく。
ソイツ、秋月Aは俺を真っ直ぐに見据えてそう口にした。思わず俺はそんな間抜けな声を漏らしてしまう。俺の右目に映ったその面は、何の色も映してはいないように見えた。
……Aは俺の恋人だ。
…いや、今この瞬間、そうではなくなってしまったのかもしれねェが、つい数秒前まで、俺達は確かに恋人同士だった。それなのに、突然に告げられた別れの言葉。それをすぐに受け入れるはずも、ましてや頷けるはずもなく。
「……理由、聞かせちゃくれねェか」
……が、否定をすることも出来ないまま、俺はそう問いかけていた。いつも二人で過ごしていた俺の部屋には、言葉には言い表し難い雰囲気が満ちており、居心地が悪い。今まで彼女と同じ場所に居て、そんな風に思ったことなど一度もなかったのに。
……Aは、言葉を選ぶように数秒ほど黙り込むと、その桜色の唇は再び開いた。
「……寂しい、から」
……静かに、いつも『晋助、』と、愛しい声で俺の名前を呼ぶその声が、そう言った。例えるなら、氷のような声だった。冷たく、放っておいたらすぐに溶けてなくなってしまうような、そんな声だった。
『ダメだ』
『そんなん頷ける訳ねェだろ』
『今更手放せるかよ』
「………そうか」
……喉まで出かかった、本当の言葉は、俺の本音は、そのまま声になることはなく心の奥底に飲み込まれていった。代わりに口から出た言葉は、肯定の返事と、「なら、仕方ねぇな」なんて心のない言葉だった。
…その言葉に、心なんかあるはずがねェ。
……その言葉は、嘘と偽りを塗り固めたものなのだから。
「…別れるか」
「……うん」
……確認のために、その現実を俺が受け入れるために、「嘘だよ」という彼女の言葉を聞くために、俺がそう言うと、Aは、小さく頷いた。
「……今までありがと、
ー・・・さよなら」
……最後の最後に、彼女はそんな言葉を俺の部屋に落とすと、俺に背を向けて廊下へと出ていくと、玄関まで行き、扉を開けて、閉めた。もうそこに彼女は居ない。
…彼女が俺に背を向けた瞬間、廊下に出ていく瞬間、靴を履いている瞬間。その隙に彼女を抱き寄せて、留めることだって可能だったはずなのに、俺はそれをしなかった。しようとも思えなかった。
…それは、全部、俺が悪かったのだと自覚していたからだ。
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ピピコ(プロフ) - 返信が遅れてしまいごめんなさい！！すずさん！ありがとうございます！高杉さんオチ現パロということで、難しいところもたくさんありましたがそう言って頂けるなら書いて良かったなと心から思えます！こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございました！！ (2018年4月11日 15時) (
レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - あああああ！！ほんとにキュン死しそうでした！！(〃ω〃) 素敵な作品と私を出会わせてくれて、ありがとうございます！！ (2018年3月21日 4時) (レス) id: 243c6c39f4 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 紫音さん» 紫音さん！ありがとうございます！！感動して頂けましたか…！？切なく甘く、を目標に頑張りました！！初めての高杉さんだったので、試行錯誤しながらでしたが、お楽しみ頂けていたなら嬉しいです！！最後まで読んでくださり、ありがとうございました！！ (2017年11月24日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 月猫さん» 月猫さん！いつもありがとうございます！叫びたくなりましたか…！初めての高杉さんのお話で、うまく書けているか不安しかないのですが、お楽しみ頂けたなら幸いです！また高杉さん書けたらいいなと思ってます！最後まで読んでくださり、ありがとうございました！ (2017年11月24日 23時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - 完結おめでとうございます！とっても感動しました！ (2017年11月24日 5時) (レス) id: b88bd76db6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年8月24日 16時
